勝手がお好き!!~徒然満載

ゲーム依存症の創作好き

魔法使いになりたくて 34

「ミラー、夕食を食べにいかないか」
「あー、行く」
「ミラー急に考えても答えは出ないよ。焦らなくていいから」
「考えてるのわかった?」
「考えてなかったら食堂に直行してる」
「あはは、私はそういうタイプだな」




行くと、四人が揃ってた。サンドラが
「パートナーの組み合わせ決まったわよ。やっぱり貴方達、二人は離れないんだ私は女の子と組みたかったのになぁ」
ミラーが
「ごめんね。これだけは譲りたくなかったの。で、誰と誰になったの?」
「私はドルドネ、でアガルスとテルジス。アガルスは内勤希望だから攻撃魔法師のテルジスとはいいコンビよね。私は水なのドルドネは土だからかな?ミラーは風だけど光が本当なんだよね。何故わかったの?」
「マシャルっていう白魔術師が光属性で私の付き人だったの。だから見よう見まねで…ほとんど忘れちゃったけど発動はできるの」
「おい、食べようぜ。それから図書館いかねぇ?」
「いいな。そうしようぜ」




六人で図書室に行く。数人、学習している。先輩か後輩たちだろう。とにかく、学生の少ない白魔術師だ。それぞれが思い思いの本をとり、ノートに書き示していく。この頃ミラーは光の魔法をあさっていた。強力な魔法が多いし、何よりマシャルが使っていた魔法を思い出したかったからだ。カシオネは最初もっぱら錬金術書を見ていたがろくなのがないらしく最近は水系風系の魔法を探している。六人の中でサンドラだけが火系を得意としていた。




光よ闇から我らを守る守護のたてとなれ
光が友よ闇を払う刃となれ
光のリングよこの者を戒めよ
光の炎よ光臨して燃やし尽くせ
光のベールよ闇となったものたちを多いつくし始末せよ
光の追尾よ一人を切り刻め
光の蔦よ一人の自由を束縛せよ
光よ何時と異なる闇よ払いのけよ
光よ真なる闇を映し出せ
光よ足をとらえて




知らない魔法もあったが、マシャルが使ってた魔法はこれだけだった気がする。生きていたら、もっと教えてもらえたのに…ため息をつきノートを眺めていると
エンジェルがやってきた。
「お久しぶりお譲ちゃん。もうすっかり大人ね」
そういいながら頭をぽんぽんする。
「全然大人扱いじゃないし」
「本当にここへ来るとは信じてなかったからな。マシャルの形見よ。しっかり勉強しなさい」
「え?ノート…光の魔法がびっしり…」
「忙しいからこれで。結構強いらしいじゃない」
そういうと手を振って消えていった。
「そういえばカシオネが調べてきた話ではパートナーを組んで二年から七年でものにならなきゃ白魔術師には慣れないんだよね。今日のテストは白魔術師に慣れると思っていいのかな?」
「テスト?俺たちはそんなもん受けてないぜ」
カシオネが概要を話す。
「そっかお前達なら二年で白魔術師になれるかもな」




二年になってからは実践一筋だった。討伐、資料集め、材料集め。唯一、週一回の光と闇の魔法の授業が学生らしいものだった。だがトルネクスの攻撃魔法授業はやはり実践が多かったのでミラーはそんなに苦にならなかったが他の生徒たちは学習上での攻撃魔法のあり方しか習っていなかった。ミラーは他の生徒から見れば、かなりの無茶をする生徒だった。倫理上の戦闘組み立ては滅茶苦茶で勘に頼ることが多い。それでも実績はミラーとカシオネのチームが断然トップだ。ミラーはカシオネの戦略に反発したことはない。頭脳役と体術役がはっきりしていたし、カシオネも決して弱くはなかったからだ。




そんなある日六名が集められた。
「今回のは厳しいわよ。六名全員一丸となってあたって。内容は強奪犯の討伐、生死は問わないわ。必要なのは強盗が集めた財宝よ。この袋に入れて。直接、白魔術師の宝物庫にはいる仕組みだから。
「そんな横取りって犯罪と変わらないんじゃ…」
とミラー。
「白魔術師を正義の味方と思わないことね。汚い仕事もする。財源は必要なの。正当な場所から盗めと言ってるんじゃないわ。どちらにしろ捕まれば没収される財宝よ。それにもう一つ大事なことがある。人間同士の実践よ決闘や授業のレベルとは違うわ。こっちも命がけになることを知りなさい。それが目的、敵は10人超えるわよ」
「敵は黒魔術師だけじゃないんだ…」
「ミラーにはショックかな」
「魔法使い買って商売してるスターショーと何が違うの」
「白魔術師は殺戮者よ。守るものが違うだけ。仕事を選びたければ強くなりなさい」
「一週間ください、ミラーを落ち着けさせます」
「わかったわ。ミラーなしにこの仕事は成功しないでしょうしね」




ミラーは寮に戻っていた。隣にはカシオネがいる。胸に顔をうずめて、服を握り締めて離さない。しばらくして
「落ち着いたか?」
「白魔術師その言葉に酔いしれてた。考えてみれば資金がどこからでてるかも、黒魔術師を倒すだけでやっていける組織かも知らなかった。マシャルが私の保護者をしてたのもある意味、資金集めだったのよね」
「大人になると嫌なことも思い知らされるな。でも白魔術師の基本的なあり方は間違ってないよ。強奪犯だって取り締まるべき存在だ。それができないから白魔術師なんだろう」
「あっそっか普通なら警察が動けばいいんだ」
「いや警察はいないけどね。ガーディアンがいる」
そこへサンドラが入ってきた。
「落ち着いた?」
「少し。胸につかえたものは取れないけどね」
「うん。だから四人で話した。生け捕りにしよう。その後どうなるかはわかんないけど…私たちが殺すことない」
「すごい難しいよ?」
「ドルドネがね闇の魔法勉強してる。今まで内緒にしといてくれって言われてたけど彼闇属性なんだって、白魔術師を目指すのに恥じていたらしいわ。だけど今回は使える。闇の結界で捉えていけば、身動きがとれない。見えないんだから。後は精神系ミラー得意でしょう?私も得意?カシオネは?」
「まぁ人並み以上には使える」
「アガルスはもともと属性が精神だしテルジスもカシオネと同じ事言ってた。混乱と暗闇と光に闇結界、土の蔦縛り、ミラーとカシオネ使えるよね?」
「土の基本だからな」
「後は魔力のガチ勝負よ。いけそうな気がしない?」
「したくないことは最低限しない。人を殺す技は必要だろうけど…それは知ったばかりの今じゃなくていいと思うのよ。こっちの意地も見せてやりたいしね」
「サンドラありがとう。だけど一つだけ。六人のうち一人でも危険なら私は迷わず殺すわよ」
「それは私も同じ気持ちよ。安心して、ならその方向で」
「俺たち、いい仲間になれそうだよな」
「うん。ありがたいことだわ」




ドルドネが
「闇よこの六名に暗視の目を」
とかけると、サンドラが
「炎よあの建物のあらゆる光を奪え。行くわよ。さきに縛れる者はしばって」
家というか廃墟に突入する。
「大地の蔦よあの者に縛りを」
「大地の蔦よ見える三人に縛りを」
「闇の結界よ四人を封じ込めよ」
敵が
「光よこの建物を照らしたまえ」
だが光らない。
「よし、こっちの精神が勝ってる。今のうちにどんどん行くわよ」
言われたとおりにどんどんしばりあげていく。
「サンドラってリーダータイプだったのな」
「だって学校の班のグループリーダーだったもの」
「俺らんとこ、そんなのなかったよな?」
「うん」
とミラー。とにかく縛り上げ結界に封じ込める。
「他にいないか探して」
「いないんじゃないか?」
「じゃあ宝を片付けましょう」
どんどん六人で拾いあげていく。
「組織が欲しがるはずだな。たいした財源だ」
とアガルス。そしてほとんどの財宝が片付いてきたとき
「風よ雷をかの六人に降り注げ」
と頭上から声。
「水よ雷をかの者へ運び返せ」
とカシオネ。
「ギャーッ」
その一言で倒れた。
「外にでも隠れてたか?」
「死んじゃった?」
「六人分の雷を受けたんだ。おそらくな」
「ごめん、もっと注意すべきだったわ」
「いいんだよ。俺が注意してたから…汚れ事に手をださなくても」
そう言うとミラーの頭にキスをする。
「本当にごめん。変な覚悟までさせちゃって…」
「言ったろ困ってるときは助けるって何度言ってる」
「最低でも四、五回位は…」
「そこ、いちゃつくなまだ終わってないぞ」




六人は財宝を全部始末し14人の捕虜を捕まえて帰っていった。
「呆れたわね。殺す方がずっと楽なのに捕まえてくるなんて」
「一人死にましたよ」
とカシオネ。
「上々よ。まれに見る優秀な学年だわ。ガーディアン呼ぶからそこに捕まえたのは置いといて。後は休んでいいわよ。明日、新しい仕事を言い渡すわ。アガルスはちょっと残ってくれる?」




図書館で
「カシオネ何みてるの?」
「見なくていい」
と慌ててカーテンを閉めるカシオネ。だが隣の窓からミラーは見ている。
「口封じか」
カーテンを持つ手が震えている。
「だろうな」
「生かしても殺しても同じわけだ」
「人の苦労なんて知らないんだろうね」
とサンドラ。
「いつきたの?」
「今よ」
「せめて…心無く当たり前に殺してるんじゃないと俺たちは信じよう。そういう白魔術師にならないように」
とテルジス。
「あんた自発的に口聞けるのね」
とサンドラ。テルジスはさっさと机に座ってしまった。
「ドルドネは使い慣れない闇の魔法の連発で寝込んでるわ。アガルスはどうしたのかしら?」
「手伝ってる…あそこ」
とミラー。
「内勤希望者だからな事実は隠せないだろう」
とカシオネ。
「なんか後味悪い仕事だったよね。酒でも飲みに行かない?」
「ううん。私寝る」
「俺もその口だな」
「テルジス飲みにいかない?」
とサンドラが場違いに叫ぶ。
「飲みたいのか?」
とテルジス。
「うん。飲みたい。いつもはドルドネと飲むんだけど」
「それは大騒ぎだな」
「あらわかる?」
「付き合うだけだぞ」
「ありがとう」
と二人がでていく。ミラーとカシオネは寮に戻る。
「カシオネの部屋あっち」
「いいだろう一緒でも。シャルセの小屋で寝ることはもうないんだし」
「まぁ男子禁制ではないみたいだけど」
「それどころか子連れがいたぞ。上の階ほど広いらしい、白魔術師の社宅でもあるんだろう」
「そうなんだ。自分のことは自分で責任を持てってことか」
「だろうな」
「心臓の鼓動が聞きたい」
「俺もだ」
二人は疲れていたのか、抱き合ったまますぐ眠ってしまった。それはどこか子供の頃を思い出す様子だった









33
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34
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修正版35-1
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