勝手がお好き!!~徒然満載

ゲーム依存症の創作好き

魔法使いになりたくて 42

「光よ真なる闇を映し出せ」
とミラー。
光は五つ同じ方向に向いている。
「団体で行動してるのか、行くぞ」
とカシオネ。つくと五人が闇の刃をかけてくる。光の結界を張るミラー。
「これは…ミラー後ろ向いてろ」
「氷の刃よ五人の首を切り落とせ。いくぞミラー振り向くな」
「大丈夫よ。カシオネ。テルジスはそこまで気を回す人じゃなかったから、人質も何人殺したかわかんないし」
「その度に心に傷を刻んでるのは誰だ。見ないにこしたことはない。しかし見習いか…」
「陽動に使われたのも見習いだった…」
「今度はその心配はないだろう。サンドラたちは休暇中だ」




「俺達も明日帰るぞ?」
「また新しい錬金術の習得?」
「まぁな」
「休みでも一人にするのね」
「すまない。白魔術施設じゃ習得できないんだ」




「すまないね。休みまで駆り出して。習得してもらいたい魔法があったのでね。呼び出したのはわしじゃ」
とカシオネの父。
「構いません、この家にも大分慣れましたから」
とミラー。紅茶を一口飲む。運んできた母親が聞く。
「もう一つ聞いておきたいことがあってね。子供ができたらどうするきでいるのかい?」
「…こ…ど…も…?」
「あら、まだその関係は持ってなかったかしら?」
「いえ…その…」
ミラーは真っ赤になる。
「いくつか選択肢はあるわ。白魔術師を辞めて人間界に戻るか。家にくるか。白魔術師を続けるか。白魔術師には堕胎の魔法もあると聞くわ。うちでも薬は作れる。育てながら白魔術師を続けてる者も少数だけどいるわ」
「私は白魔術師をずっと続けるつもりでした。子供のことなんて今まで考えたこともなかった…ただ家には帰れません。白魔術師になるときに縁を切らされたので…中卒の私じゃ人間界で暮らすのはとても厳しいと思います。カシオネは人間界にはいられないと思うし…」
「じゃあ家に来るかい?」
「…フォレスト家は純潔の魔法使いの一族です。私はやはり白魔術師を続けるしかないかと…」
「ひとつだけ言っとこう。たまたま人間の血が入ってこなかっただけじゃ気にすることはない」
「生まれてくる子供を殺したくはない。でもできにくいと思うんです。私の体は今日まで、できなかったのだし」
「子育てしながら白魔術師を続けるのは厳しいよ。焦らなくていいからどうしたいか決めなさい」
父親は厳しい顔をして何も言わない。ただ何か考えている。カシオネが顔を突然覗かせて
「それはミラーが決めることじゃない。そんな日がくれば無理やりにでもひっぱって家に連れてくる」
とカシオネ。
「お前、錬金術は?」
「失敗した。最初からやり直す」
「馬鹿もんが精神統一が足りないのじゃ」
ひっぱたかれるカシオネ。
「今度は成功させる」
それだけ言ってでていった。
「材料を取りに来たのね。カシオネの気持ちは決まってるみたいだけど」
「だったら私は逆らえないでしょうね」
ミラーは戸惑いながらもそう答えた。カシオネは何を考えて私が決めることじゃないと言い切るのだろうとミラーは考えていた。少し抱かれるのが怖くなった。




白魔術師を辞める日がくるかもしれない。エンジェルは20年で自分達においつけと言った。サンドラたちとは相変わらず少しぎこちない。カシオネは材料の採取に失敗をしても怒らなくなったものの、どれだけ丁寧に説明しても、サンドラやテルジスは反発する。これ以上はグループ崩壊を招きかねないのでアレクシラは彼らを討伐専門にした。大物狩りへはドルドネがミラーについた。伸び悩んでいた五属性が微妙だが伸び始めている。黒魔術師の研究は無駄じゃなかったらしい。そういえば彼女を作らないのかと言うと
「俺はこの顔だし、楽しむことは好きだがマジになるのは怖いんだ」
と笑っていた。




カシオネが口付けをしてくる。そのまま首に流れる唇にミラーは待ってをかけるようになった。
「まだ、怖いか。おふくろの言葉はよほどショックだったんだな」
と言ってカシオネはミラーを抱き寄せる。
「ミラーはマシャルを超えた。サンドラとの関係は俺が錬金術を辞めない限り完全な修復は無理だ。20年でエンジェルさん達を追い抜くのも無理だろう。白魔術師には緊急要請員の制度がある。それに登録して俺の家に帰るのが一番だと思う」
「白魔術師の錬金術も捨てるの…」
「捨てたくはない…でも…もっと大事なものができるなら俺はそれを無駄にはしたくない。可能性を賭けたい…ミラー…欲しい」
「…ごめん」
「クスッ、待つよ。無理やりは嫌だしな」
「ごめん」




ミラーはエンジェル達に追いつく気で居た。それがこんなにはやく白魔術師を辞める可能性もあるのだと知らされた。考えてみれば恋人を持ち愛し合ってれば当然のことだった。今更にミラーは掃討できるグループが今三組しかない意味を知った。グループは解体されるのだ自然と。




そして、その日が来た。サンドラとテルジスが白魔術師を辞めることになった。サンドラは痩せていてすっきりしているので実感はなかったが、三ヶ月の子を身篭ったらしい。帰ったらテルジスは戦士として暮らすと言っている。サンドラはまだ決めていない。子が三歳を過ぎるまでは側にいるつもりだと華やかに笑った。

「やっぱりこの日が来ちゃったわねぇ。グループ解散だけど仕方ないことね。祝い事だから」
とアレクシラ。
「ミラーたちもいずれは出て行くつもり?」
「はい。申し訳ないのですけど私の子はフォレストの子です。カシオネの家で錬金術を身につけていくことになると思います」
「ミラー」
後ろから抱きしめるカシオネ。ミラーは自分で驚いていた。迷いもせずすんなりでた言葉に。そうなんだ…可能性、カシオネがもっとも大事だという子に可能性を求めているとしたらフォレストの錬金術師かない。
「でも私に似たらどうしよう?」
「狩りでも畑仕事でもさせるさ。だが大丈夫だ。フォレストの英才教育は半端じゃないからな」
「ただ…期待はしないことね光の属性は子供ができにくいから…」
とアレクシラ。
「それならそれでいいんです。俺は14人の末っ子だし、兄弟の子がフォレストを守ってくれると思います。俺にはミラーがいればいい」
ミラーが上を向く。
「知ってたの?」
「ああ、まあな。純潔魔法使いが長い一族だし」
「アガルス、ドルドネ貴方達は?」
「俺はあまり、女と続かなくって…」
とアガルス。ドルドネは
「恋愛そのものが俺は怖い」
という。
「そうねぇ、私からアドバイスするのもなんなんだけどアガルスは身勝手なところがあるわね。人に対して冷たいところも直したほうがいいわ。これは仕事面でも言える事よ。ドルドネは勇気を持つことね。最初から諦めないで。貴方の性格なら受け入れてくれる人は必ず現れるわ」
「アレクシラ先生は恋愛を諦めたの?」
とミラー。
「そんなに簡単ならいいけど、私達は白魔術師でいることを受け入れただけよ。心で繋がってる人なら全員いるわ」
「心で繋がっている…素敵ですね」
「その代わり、泣いて捨ててきたものもあるのよ」
とアレクシラは悲しそうに笑った。




光の者は子供ができにくい…その事を知っていたカシオネ。その上で、できたらフォレストに連れて行くと言ったのだ。カシオネはその上で白魔術師より大事な子供だと位置づけた。ミラーのカシオネを拒絶する気持ちもなくなっていった。毎日、狩りにでかける日々が続いている。




「鳥馬かぁ。難しい狩りだな。翼が邪魔だ」
とドルドネ。
「テルジスとはここから、全部心の臓をつぶしていったわ」
とミラー。
「翼は血でよごれてもいいのか?」
「あまり良くない」
「なら闇の魔法を使うか。見てろ」
「闇よ鳥馬たちの全ての心の臓を止めよ」
一気に一面の鳥馬たちが倒れる。
「すごい…私の光追い越してるんじゃない?」
「闇の魔法はこんなことぐらいにしか使えんがな」
とドルドネは面白くなさそうに言った。転送袋にいれて一息つく。
「これから後輩とデートだ。帰るぞ」
「彼女作ったの?」
「面倒見てたのに、かわいい子がいてな。思い切った」
「おめでとう。じゃあ帰ろうか」




「へー、ドルドネ一人でしとめたか。今度は一人で狩りを願い出て構わんか?」「構わんが…馬を転送袋に入れるには助手が欲しいなやはり」
「馬は馬だからな重たいよな…後輩をつけるか」
「おまえ、またミラーと狩るのに焼きもち焼いているだろう」
「ないとは言わんがドルドネとは安心してるよ。お前のおかげで目が覚めたからな時間がかかるが、部位のどこが一番必要か説明してる。失敗したものも練習用に使ってるしな」
とカシオネ。
「狩る方は狩る方で大変なんだからな」
「ああ承知したよ。それに狩人も何人か育ってきてる。ミラーの負担も少しは減るさ。とは言っても明日は一角獣の狩りだ。馬は馬でも危険度が違うがな」
「そんな危険なの一人で行かせるのか?」
「仕方ないだろう。俺もお前も男だ補助すれば余計に危険にさらすだろうさ」
「おっと悪い時間だ。用があるんだ、失礼する」
「デートだって。私は時間があるから狩りをしに行ってくる」
とミラー。
「充分、気をつけろよ。明日は休むから今日狩れるなら休みとれ」
「本当?頑張ってくる」




「何しに来た、小娘」
と一角。
「小娘という歳でもないのだけど」
とミラー。
「貴方に乗らせて欲しいわ」
「他をあたるがいい」
「私は貴方がいい、駄目?」
と擦り寄る。
「気持ちいい」
「乗れ」
「ありがとう」
連れられてきたのは一角獣の群生地帯だった。まずいなと思う
「なにがまずい。何を企んでいる」
と一角。
「それはね」
心を真っ白にする。そのまま無言呪文。当然杖も振れない。ドサッと倒れる一角獣。一斉に一角が振り向き突進してくる!
「光の結界よ何重にもなれ!」
数の多い体当たりで結界がつぶされていく。ミラーは直接、白魔術施設に転移した。馬は重く運べないので、錬金術室に行って運んでもらう。
「失敗した。沢山の一角獣に顔をみられたわ」
「お前馬の顔の区別つくか?」
「飼ってればたぶん…」
「その程度だ。向こうもわからん。もう夕刻だ、終わらせるから食事行くぞ」
片づけ中だったらしい。




そんな日々が続いてサンドラのことを誰もが思い浮かばなくなったころ。必死の思いで錬金術室に飛び込んでくるサンドラが来た。
「カシオネ!お願い私達を助けた玉を一つ分けて早く!」
あまりの緊迫した表情に保管室に急ぎ取ってくるカシオネ。
「サンドラどうした?その格好は何があった?」
というカシオネの声を無視して移動魔法で飛んで行った。サンドラはほとんど裸のような状態だった。薄絹一枚がはだけてあられもない姿。お洒落だったサンドラからは想像もつかない姿だ。錬金術師の年配の人が言う
「あれはお産着だ」
四人は呼ばれて、錬金術室に集まる。再び現れた時、研究室の上着をドルドネが慌てて着せる。
「カシオネ、お願いあの子を生き返らせてお願い」
カシオネは難しい顔をする。
「人を生き返らせるのは神官だけだ。それも24時間以内、そして多額の寄付金が要る。生命復活の研究は法で禁じられている…」
「フォレスト家でも駄目なの?」
「すまない…全て神官が買い取ることになってる決まりなんだ…家にもひとつもないはずだ…」
泣き崩れるサンドラ。抱きしめるドルドネ。そこへテルジスがやってきた。
「すまない。取り乱してただろう。まだ動かすと母体も危ないんだ。連れて帰る」
ドルドネと変わるとそのまま転送魔法で帰っていった。




気丈にもサンドラはそれから1ヶ月で白魔術施設に帰ってきた。子供の死は錬金術をより忌み嫌うものとし、六人グループの活動は停止状態だったが、討伐にでていく二人の絆は一層深まっているようだった。




アレクシラがこの六名を再び活動させられるようにするにはどうしたらいいか悩んでいる最中なのは言うまでもない。















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