勝手がお好き!!~徒然満載

ゲーム依存症の創作好き

魔法使いになりたくて 43-1

「ん…カシオネ…」
「なんだ?朝食行けるか?」
「…いらない。側にいて…」
ベッドに座りながら
「お前は休みのたんびに抜くな。食べたほうがいいぞ」
「だって、でていくと二人の時間が途切れちゃうもん」
「じゃあ、今から作るから待ってろ」
ミラーはうとうとしていいたが、それを無理やり立つ。台所に行き後ろからカシオネを抱きしめる。
「こら危ないだろう。座ってろ」
ベッドに座っているとトマトスープが運ばれてきた。
「熱、すっぱい」
「健康にはいい飲め」
「うん」
カシオネも自分の分をついで隣で食している。
「なぁミラー」
「何?」
「机と椅子を置かないか?」
衣装だけが置かれている殺風景な部屋を見ながら
「そんなに物置けるかな?」
「俺の家はもっと狭いぞ」
「それもそっかぁ、机くらい、いいかな…」
「白魔術師施設に来た頃かな」
「何が?」
「ミラーが髪の毛をすいてしばること覚えたの」
「あは、ぼっさぼっさしてたもんね」
「やっと女の子っぽくなったのかと思った。だけど部屋は鏡台もない机もない本棚もない。俺の部屋より殺風景だ」
「学生時分のノートとかが箱に入ってる。トランクに小物類、必要なものはベットの上と台所。冷蔵庫もないから品物はもたないし置いてても仕方ない」
「冷蔵庫?」
「電気で冷やして物を長持ちさせるの野菜や魚や肉はてきめんに変わる」
「電気は通らんが保管箱はつくってやれるぞ」
「ただの箱じゃないの」
「冷風化してあればいいんだろう?氷も溶けんぞ?」
「…それは冷凍庫…もう少しゆるくして」
「何度くらい」
「5度くらいかなぁ」
「解った作っとく」
二人の茶碗を持っていって、軽く洗うとミラーはベットに戻ってきて
「一緒に横になろう」
「…欲しくなるだろう」
「一日中でも…」
「馬鹿…もつわけないだろーが」
それでもカシオネはミラーの服を脱がす。しばらく朝から二人は二人の時間を楽しんでいた。
「狩りにでもいくか?二人だけの方がいいんだろう?」
「何狩る?」
「ねずみなんかどうだ。ひげがこころもとないしな」
「二人で狩るまでもないけど…」
「狩るのが目的じゃないだろう。今日は休みだぞ」
「んじゃ、行こうか」




凄い勢いでねずみが襲ってくる。カシオネが水の結界を張ると泳ぐように結界を
取り囲んでしまう。
「光よ明かりをともせ」
カシオネが光の魔法をつかう。結界は一重だがミラーはのんきだ。カシオネの結界が破れることはない。それは過去の経験から承知している。
「大地よお前が生みしねずみの息の根を止めよ」
結界をおおっていたネズミたちは滑り落ち、大地一面にネズミたちが横たわる。
「第二陣がくるぞ。どうしてこんな短期間で増えるのか呆れる繁殖力だな」
今度は結界ギリギリで
「大地よお前が生みしねずみの息の根を止めよ」
が唱えられる。一匹死なない。大きさが全然違う。カシオネが水の結界を何重にもしその上から風の結界も重層する。
「カシオネ?」
「クリキカスという大ねずみだ。結界破りとタフさが厄介なやつだよ。消えてもいい光の魔法一発でしとめろ」
「光よ目の前の獣の息の根を止めよ」
突進してくる大ねずみ。
「死なない!光よ目の前の獣を抹殺せよ!」
結界を破りだす大ねずみ。
「光よ剣となりて目の前の獣を倒さん!」
ミラーは剣を手にするとねずみの心臓めがけ突き刺した。しばらくじたばたしていたが大人しくなり死んでいった。
「光の魔法が効かないなんて始めてよ」
「効いてるさ。タフだと言ったろう。それよりこれがうろついてるって事は組で動かした方がいいな。普通の者なら逃げるだけで精一杯だ」
「なんでこんなのが」
「ねずみを餌にしてたのさ。繁殖しすぎたんだろう」
二人で転送袋にざかざかねずみを入れていく。最後に大ねずみの体をみて
「光の剣は傷跡も残さないのか」
とカシオネが感心したようにいう。
「力はドンドン吸収されて小さな剣になっていくけどね」
「ああ、そんな感じに見えた。錬金術師にはありがたいことだ。使えないところのない材料だが、なかなか倒せない。売るべきか使うべきか迷う材料だよ」
「カシオネなら失敗しないでしょう。使えばいい」
「それが失敗するんだな。これを使いこなすには10年早い。家に転送するか」
そういうと聞きなれない魔法で転送した。
「私もまだまだね。一発で仕留められなかった」
「まぁ、でも倒したろう。ドルドネなら一発でいけるだろうが」
「それドルドネより修行が足りないというの?」
とミラーが拗ねる。
「いやクリキカスは光属性の獣だからな闇に弱い」
「ああ…それで倒せなかったのか…」




帰ってくると錬金術室の人が走ってくる。
「ひげを取ったねずみの後始末はどうしたら?」
錬金術師。
「皮をはげば皮は売れんことはないが手間過ぎる。焼却してしまえばいい…と何度目だ?全員に徹底させろ」
とカシオネは言うと
「ミラー」
と手を差し伸べる。部屋に入っていくとサンドラが待っていた。
「サンドラ?どうしたの。もう体は万全?」
とミラーが抱きしめる。それを払いのけるとサンドラはカシオネを睨みながら言う。
「何故?フォレストは神官なんかに渡すの。蘇生の薬のことよ。貴方達が管理してればお金のない、だけどもっと生かすべき人を生かさしてあげることができるのに」
「それはサンドラの子供が生かすべき相手というのか」
「そうよ!私とテルジスの子なら将来は有望だったわ」
「何人の人間が同じようなことを言って殺到するとおもう?しまいには取り合いの暴動だ。フォレスト家自身の身も危なくなる。死は自然の摂理だ。本来生きかえらすべきじゃない。フォレスト家はそれを貫いてきた。100年前に魔法庁からの命令が下るまで蘇生の秘薬はフォレスト家の中でも秘密裏に管理された禁術だったんだ。神官がフォレスト家に目をつけ研究をするように魔法庁を通したときフォレスト家にはすでに禁術としてその魔法はあった。だれが好き好んで神官に売るか。だが魔法庁を敵に回して生きていけるほど魔法界は甘くない。身をまもる手段として、作り売り伝授されているだけだ。自分の子供を生き返らせたいのはわかる。だが死んだのがミラーの子だとしてもフォレスト家に生まれた以上それを蘇生させるわけにはいかない。禁術を犯して作っているフォレスト家だからこそだ。フォレスト家が誰かを蘇生したら魔法界の秩序はなくなる。わかってほしいサンドラ作れるのと使えるのは別なんだ。神官の寄付金は相当の金持ちが財を捨てても足りない。あれはカモフラージュだ。本当に蘇生されてるのは魔法庁の手足となって生きているものと、魔法庁の人間だけだ。そこまで言ってサンドラ、お前は魔法庁に喧嘩売るか?」
「あそこは無理よ。白魔術師でさへ適わない帝魔術師が何人も居るわ…でも秘薬を使ってるのはそいつらね?」
「そうだ。死は死として自然に葬られるべきだ。少なくとも二人の間に生を受けようとした命は健やかに死ねたはずだ。サンドラが命をかけてかけずりまわったんだ。そのことは理解してくれてるはずだ」
「フォレスト家も所詮はただの人か…脅しに屈して暴動に怯えて助けれるものも助けれないただの烏合の衆なんだ」
「そうだよ。サンドラ。三千年の歴史があろうとも所詮は人の集まりで、できている強いものには負け、弱いものも助けられない。だからこそできることだけは一生懸命なんだ」
「私は子供の生めない体になったわ…」
『サンドラ』
ふたりの声が重なる。それは苦痛の声だ。サンドラはミラーに近づき…短剣を下腹部に突き刺した。もう一度抜き刺そうとするのをミラーが必死で支える。力は自然にお腹に入る血があふれ出し、ミラーが力負けする瞬間、カシオネが後ろから剣を握りサンドラを押し倒す。
「たった一個秘薬を残してくれてればあの子は助かったのよ」
「それが滅びの末路を招くと言ったろう」
そういいながら警戒音の魔法が一面に響く。
「ミラー大丈夫か」
といって傷口に治癒の魔法をかける。
「そんなに憎いのサンドラ…」
「憎いわ。魔法を知ってて使わなかったカシオネがフォレストが貴方も子供の生めない体になるといい」
そう言うと再びミラーめがけて切りつけてくる。カシオネが片手で受け止め力比べしているとアレクシラが飛び込んできた。サンドラは独房に入れられ、ミラーの治癒をアレクシラも手伝う。
「たぶんこれで完璧だと思うけど医務室で二,三日様子をみる?」
「ううん。自分の部屋のが落ち着く。それよりサンドラをだしてあげて。サンドラは病んでいるわ」
「そのようね。ミラーは身篭ってもいないのにミラーの子を殺したと高笑いしているわ」
精神安定剤と精神修正薬を調合してきます」
ミラーが手をとって
「今日はお休み…だよ」
「サンドラをほっとくわけにもいかないだろう?基本調合はすんでる。すぐもどる」
「ごめんなさいね。討伐の成績はうなぎのぼりだったから、サンドラがここまでするほど精神を病んでたなんて気付かなかったわ。ミラーが望むなら規則にしたがって追放もできるのよ?」
とアレクシラは治癒をかけながらいう。
「元には戻れないのサンドラは?」
「わからないカシオネの薬がどう作用するかにもよるし、サンドラの心がどう変化するかにもよるわ。貴方が望むなら独房からはだすけど見張りはつけるわよ」
「それは仕方ない。私も二度も刺されたくはないし…」
とミラーは申し訳なさそうに言った。




サンドラの部屋でニ度目の警戒音が鳴る。
今度はテルジスが暴れてサンドラを殴りに殴り続けたらしい。泣きながら何度も何度も
「俺だけじゃ駄目なのかと…」
ノーマークでテルジスを入れた見張りは慌ててテルジスを止めようとするが結局治めたのはアレクシラだ。結局二人には薬が調合され飲まされる。テルジスは2日の独房生活を言い渡された。




それから1週間後。
「傷はどう?」
とサンドラが訪れる。
「大丈夫完全に治ってるから、本当は早く狩りにでたいけど先生の許しがでなくって」
とミラーが笑う。当たり障りのない話をして出て行く瞬間、サンドラは振り向いて
「ごめんなさい」
と深々と頭を下げた。キラッと光る涙が落ちた。それが子を生めぬ悲しみかミラーへの申し訳なさかは測りかねたが…サンドラがでていくのを確認してから
「カシオネ、どう思う?」
「ああ、精神修正薬が効いたんだろう。半分気がふれてたからな。そんな相手には強力な薬だ」
「強制的に正常に戻すの?怖いね、錬金術って…」
「始めてそう思ったか?もともとこわいものなんだよ。錬金術ってものはな」
とカシオネは言った。
「魔王の戦いの時にそれは知ってる」
とミラーもこたえた。




ミラーはしばらく考えていた。自分を傷つけた相手にそこまでするべきか…下手をすればもっと嫌われる恐れもある。だが、それから一週間後、今度はミラーがサンドラの元を訪れる
「使ったことないから成功するかわからないけど、また生めるんなら子供欲しいのだよね?」
「当たり前でしょ。あの子は私の全てだった」
「じゃあ、賭けになるけど私の治癒受けてみて」
それは補正薬と同じで無理やり正常に向かわせるある意味恐ろしい治療法だった。
魔法がかけられまぶしい光がサンドラの下腹部を貫く。
「熱いわ。ミラー、熱い燃えてしまうわ」
とサンドラ。
「しがみついていいから我慢して、光の治癒は熱いの。それに無理やり固まった部位を正常に戻してるから痛みも伴うわ」
テルジスが側に来て
「俺にしがみつけ」
一時間後ミラーは気を失った。




医務室で目が覚める。軽くパシッとたたかれるミラー。
「確かに光なら無理なはずの回復も可能かもしれない。でも術者の消耗も治癒者の苦しみも半端ではないはずよ。光と闇は治癒には向かない。今後禁じます。いいですね」
とアレクシラ。
「サンドラは?」
「部屋で休んでるわ。やっと熱と痛みがとれたところよ。一週間ほどして子宮と卵巣の調子を見てもらうよう手配したわ」




3ヵ月後、机と椅子と保管庫をそなえたミラーの部屋は少し寝室から生活場に見えるようになっていた。そして…
「お久しぶりだけど一緒に食事いいかしら?」
と四人の下へサンドラとテルジスがきた。
「もちろん構わないよなぁと四人の意思を確認する」
ドルドネ。
「女として体が正常に動いてるのが確認できたわ。今度は白魔術師を続けながら子供を育てようと思うの。女として駄目になった私を支えてくれたのはテルジスと討伐だから…今ならカシオネの言う意味も解るし。でもこれは薬のせいなのよね?」
「そうだな。無理やり補正する薬だからな。戦場なんかに出向く騎士などが保管薬としてもちあるく薬だ」
「そうなの。ミラーもありがとう。もう一度、夢がみれるわ」
とサンドラは笑った。それは辞めていく日見せた華やかな笑顔と同じだった。ミラーはほっとする。自分を痛めてまで、なお傷ついてた彼女がやっとグループのリーダーとして戻って来たのだ。ふっと思い
「テルジスは結局、精神修正薬は飲まなかったんだよね?」
とミラー。
「俺は正常だったからな。荒れるとあれぐらいの暴力は平気ではたらく。昔から血の気が多いんだ」
「おまえら四人の事件は大騒ぎだったんだぞ。俺の仕事も増やしてくれたしな」
とアガルス。
「まぁ今の私は落ち着いてるから許して」
と舌をだすサンドラ。
「俺は錬金術さへ認められればそれでいい」




部屋でカシオネが一本の薬をふっている。
「カシオネ、入るわよ。カシオネの部屋はいつも綺麗ね。何その薬」
「これが禁術の薬だよ。納品のときに1個くすねた…」
ミラーは取り上げると床に叩きつける
「ミラー?」
「カシオネが何を考え、苦しんでるのか私には解らない。でもね秩序をみだすフォレスト家を危険にさらす薬なんていらない。私が欲しいのは守りたいのはただひとり、カシオネだけよ?その為なら鬼にもなれるわ」
「お前には無理だよミラー、サンドラを助けたお前にはね」
「本当よカシオネ…貴方以上に大切なものなんてないのだから…」
「俺達も白魔術師に残りたいかミラー?」
「どうして急に?」
「サンドラみたいに壊れられたら…」
ミラーを抱きしめるカシオネ。
錬金術の才能は何年で解るの?」
「三つだな六つになっても駄目ならフォレストでは無用だ」
「三年休みましょう。それで駄目なら六年。それで学校に上がるわ。道は自分で決めるでしょう。フォレスト家で錬金術師になるのに親は必要ないでしょう?最初の見極めだけで後は必要なら休みに呼べばいい。私達はエンジエルに追いつく努力をすればいい。でも無用の心配だわ。そんな気がする」
「寂しい話だな」
「だからサンドラに賭けたの」
「ミラー?」
「私こそ、あそこまで取り乱すことはないわ。カシオネ一人よ。心臓止まってまで諦めなかったの」
「それはなってみないとわからないんじゃないか?」
「サンドラに治癒の魔法かけたでしょう?あの時私の中で生命は生きられないだろうって感じたわ」
「ミラー。可能性は0じゃない」
「かもしれないけど…私がいれば充分でしょう」
「ああ、充分だ」
カシオネはミラーをさらに引き寄せた。


















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