勝手がお好き!!~徒然満載

ゲーム依存症の創作好き

裸の少女 01

湖がある名も無き湖だろうが結構でかい。これ幸いに水を飲み、水筒にも水を入れる。水筒の蓋を閉めていると
「それはなーに?」
としらぬ少女の声がした。見上げると少女は素っ裸でこっちに向き立っている。慌ててしたを向き
「何って何が?まともに話がしたければまず服を着て来い」
とカネンは言った。そうすると少女は
「あっち。服を着せたいなら取ってきて」
そう言うと向こう岸を指す。指す先の指をみてカネンは覚悟を決めた。少女をまじまじと見やる。
「どうしたの?」
「こっちが聞きたい。恥ずかしいとか怖いとか、その手の感情を持ち合わせてないのか?」
「私はなにも恥ずかしいことなどしてないわ。怖いというのは貴方に対して?貴方はだーれ?」
「普通君は14,5歳くらいだろう。裸を見られるのは恥ずかしい年頃だよ。俺はカネン。カネン=ローヤヌ。森にはいったはいいがここ3日でられないでいる。水も尽きて困っていたところに湖を見つけたんだ。まさか人が泳いでるとは思わなかったよ。町は近いのか?」
「仕える者は皆男よ。恥ずかしがってたらどうやって服を着せてもらえるの?町とはなーに?」
「仕えるのが皆、男?女じゃなくてか?服も自分で着れないのか?町をしらないのか?名前は?そー言えば最初にこれは何かと聞いてたなどれのことだ?」
「その手に持ってるもの?カネンは質問が多いわ。質問するのは私よ。何に答えたらいいかわからない」
「…一つずついこう。語学は身についてるか?」
「語学って?」
「会話、読み、書きだ」
「体外の会話はできるわ。読み書きはよくわからない。なにそれ?」
「本を読んだことは?」
「本って何?」
「文字を記したものだよ。読み書きはできなさそうだな。ならこれは水を入れて持ち運ぶ水筒というものだ」
「生まれたときからこの森にいるのか?男ばかりに囲まれて?」
「そうよ。城があそこにちょこっとだけ見えるわ。父上様がいないとわりと自由なの。だから泳いでた」
「母親は?」
「母親って?」
「それも知らないのか…」
「服を自分で着れないのか?」
「たぶんだけど着れるわ。毎日見てるもの。でも仕事は取っちゃ駄目でしょう?彼らの仕事よ」
「なるほどな。そういう教育をされているんだな。町とは人が集まって生活の機能をなすところだ。城があるならばそれがばらばらになっててみんなで暮らしてるの方がわかりやすいか?」
「なぜ?一つの建物の方が効率がいいのに?」
「普通は他人を入れるのには条件がつく。家族単位で暮らすのが普通だよ。召使は他人だ。家族は?」
「召使は他人なんでしょう?父上様は?」
「それは家族だ。祖父、祖母、父親、母親、兄に姉、自分、弟に妹そんなのが家族だ」
「どれも知らないわ。父上様は?」
「おそらく父親だろう。娘をかごの鳥に閉じ込めた変質者だろうけどな…」
「?意味が全くわかりません」
「今の君にはわからないほうがいい。名前はなんという?」
「カトリーヌ=アルセルカ=サンワリット=ナハ=トワイラン=ドーレ=タマニアキア=ボーン=レゼ=サファイアルト」
「聞いた俺が悪かった。覚えきれない。召使はなんと呼ぶ?」
「レゼ・カトリーヌ様と言うわ」
「レゼか…魔術系戦士に与えられた称号だな…サファイアルトかぁ調べてみるか。まずはどう森をぬけるか…」
「カネン何をぶつぶつ言っているの。遊ぶかわかるように話して」
「いつもここに泳ぎに来るのか?」
「父上様がいなければほぼ来るわ?」
「今日は話しすぎた。消えるから、また明日話そう」
カネンはそう言うとカトリーヌの前から消えた。直後に服を持った召使が探しに来る。服を着させてもらいながら彼は召使の存在を知ったから消えたのかしらと思った。




あんな世間からはずされた常識どころか知識さへも欠落させられた少女と居るところを見られたら殺されかねない。人の気配を感じたカネンは慌ててその場を立ち去った。城が建設されているのである。町は間違いなく近くにある。それにしてもレゼの称号をはずしてもらってから三年。まだ体は魔法戦士としての能力を忘れていない。歩いては迷い森一つぬけだせないのになとカネンは苦笑した。レゼの称号は血統には譲れない。ということは、あの無垢な少女も戦闘で戦えるだけの魔法系戦士の能力を持っているということだ。筋力はそれほどじゃない。と言う事は魔法系が強いのだろう。時間は無駄にしたくない。カネンは三年ぶりに魔法を使って町に移動した。町につくと近くにサファイアルトの家がないか聞いてみる。誰もが森を指しそこに気の触れた父親と気の毒な娘が住んでいるが関わらない方が身のためだといい、それ以上の情報が聞き出せない。カトリーヌは母親の存在を知らなかった。物心つく前には離別しているということだろう。そして男ばかりの召使達。あれだけの美人がよく手付けされずに今日まで生きて来れたものだ。だからこそレゼなのか?やっとの思いで聞き出した情報はあそこでは近親相姦がおこなわれているが権力者の父親はそれさへ許されているのだと。近親相姦は国の法律で禁じられている。だがレゼは国のトップ軍事機関だ。とにかく湖に印は残してきた。無垢な少女は何を喋っていいか喋っては駄目なのか区別もつくまい。明日はひさしぶりに戦闘になる覚悟でカネンは早めに眠りについた。




次の日、カトリーヌは黒いワンピースを着ていた。尻より長い黒髪を一つにみつあみし、黒いボーダーのタイツをはいている。上はノースリーブにマントのような上掛けをかけていた。
「人払いの魔法はかけておいたわ。昨日それできえちゃったのでしょう?それに裸は嫌な見たいだし…」
賢い。こっちの思考と態度を的確に捉えている。昨日無垢だから喋って戦闘になるかもしれないと思った自分をカネンは恥だ。しかし、そういう季節なのだ。泳いでるほうがどうかしている。思った以上に鍛え上げられているのかもしれない。
「真っ白なワンピースに麦わらが似合いそうな少女だが少し季節はずれか。黒も似合っているよ」
「父上様が白ばかり着せたがるの。だから私だけのときは黒を着るようにしているわ」
「花柄とか獣模様もいいものだぞ。聞いておきたい事がある。レゼは魔法戦士に与えられる称号だ。魔法戦士というものがわかるか?」
「武術と魔術とで戦える者よね?私は父上様を守るためにレゼになったわ。父上様はとっても偉い人で、でも全てを捨てて私と側にいる事を望んだの。父上様はしってはいけないことも沢山知っている。必要があるなら父上様を死においやることもわたしの役目だと言われたわ」
「…わかるんだな。お前の父上様は父親だろうが全てを捨てたんじゃない。お前を手に入れるために全てを捨てたんだろう。お前たちは本当に娘と父親の関係か?」
「カネン、言っている意味がわからない」
「男と女の関係じゃないかと聞いている」
「私は女よカネン?どんな形が男と女の関係なの?他に女の人は居ないわ。なら全てにおいて私は女の関係であるといえるわ」
カネンは目をつぶる。
「歳はいくつだ?初潮はわかるか?性教育はどこまで受けている?」
「何のことだかさっぱりわからないけど歳は13歳よもうじき14歳になる」
「月経と言ってな。股から月に約一度血を流す。正確には膣と言われる場所から胎盤をはぎとり血と一緒に洗浄する。その始めての経験を初潮という」
「汚れの五日間のことね。来ているわ。聖なる儀式を行えない一週間だと言って父上様の期限が悪くなる」
「男根を膣に受け入れているのだな。他の召使達とはどうしている」
「男根って?」
カネンは自分のを取り出しあえて見せた。父親のこれをお前は自分の体にしずめてるのだな?」
「それが聖なる儀式ですもの。父上様以外の他のもののそれは汚れし物。カネンのもよ。私と儀式を執り行おうとすればそれは切り落とされることになる。それが父上様の決めた決まりごとだわ。私は聖女なのそして父上様が聖者、二人だけが行える祭りごとだわ」
「……子供はどこから来るか知っているか?」
「聖なる夜に神が枕元にさずけてくださると言っていたわ」
「その矛盾をいつどうやって解消するきだったのか…ともかく今は薬を飲んでるな?毎日間違いなく父親の居る日は?儀式の前が一番怪しい。思い出してみろ」
「聖薬をのんでるわ、儀式の前には…何が言いたいのカネン?」
「カトリーヌこれからする話は俺から何度も逃げ出したくなる話だ。拒絶したくなる話だ。だから腕の中においで。何もしないと誓うから」
少女はカネンの腕の中に納まりぽつぽつと話し出すカネンだった。




それはこの世には男と女が同じくらいの数がいる事から始まり、子は母と父から生まれ家族となって暮らす自然な形を知らない少女へ教えることから始まった。そして男女の交わりにより子は生まれその交わりこそが今カトリーヌの聖なる儀式と呼んでいるものであり交わりに聖も汚れも無いこと、男も女も性欲があって子供を作るのとは別にしたくなることがあること、そして血の近い交わりは奇形児などを始めとする問題児が生まれやすいことからこの国では禁じられていること。レゼは国家機関でありカトリーヌの父親も何らかの形で外に洩らせ得ない情報を抱え母を失い気が触れカトリーヌをひとりの自分だけの女性として育て上げ男と女の交わりを聖なるものにするために召使には男しかいなかったこと、父親を殺せるまでの教育をして父親の見張りにその身を挺してカトリーヌはされていたことを話す。カトリーヌは震え泣き何度も口を開こうとしながらその口をつぐむ。
「異常なのは私と父上様?城自体がもう正常ではないのね。私は知らないことが多すぎる。そんな風に育てられたのねわざと…父上様と交わるために、父上様を監視するために…」
「お前の父親を殺してこよう。レゼの称号も捨てるがいい。ついていってやるからほぼ大丈夫だ。そして成人するまで一緒に旅をしようじゃないか。いきるのに必要なことはほぼ教えてやる。今のお前はあまりにも不憫だ。未来は必ず開けるものだから」
「召使を除けば父上様だけが私の全てだったのよ」
「薬を飲んでいるうちはいい。子供ができたらどうする。正常に育てられるか。自分の父親を愛する人として自分の子供を愛するものとしてどんな境遇でもそだてられるか?耐えられるか。今の話を聞いてなお父親を選ぶか?」
カトリーヌの涙は止まないそれでも緊張しつづけた体がカネンに体重をかけてくる。なみだでその言葉はかきけされたが父親を苦しめないように殺してと言っていた。
「安心しろ。俺はレゼ用の暗殺者だ同じレゼでも強さが違う」
カネンはあっさりと人首はねてカトリーヌの父親を殺すと召使達を集め最後の給与を払い解散させた。皆、牢獄からでられたような顔で去っていく。後はカトリーヌの所存だ。カネンはレゼの本部に三年ぶりにカトリーヌと一緒に顔をみせた。




カネン=ローヤヌだと名乗り上げ本部の中枢に用事があるというとどんどんと歩いていく。時々止めようとする者もいるがカネンが指を一振りすると動けなくなる。後の者は後ろから続くその脹れ様にカトリーヌが不安そうな顔をして服をひっぱる。少し体を寄せて
「大丈夫だどんだけいようとも虫けらとかわらぬ強さしかない」
中枢まで来ると落ち着いた声が響いてきた
「騒ぎの中に騒ぎが起きる。これだから忙しくてかなわぬ。何の用だこんなところまでカネンよ。お前はここの人間じゃすでにない」
「俺はな、だがこの娘はレゼだろう。貰い受けるレゼの称号をはずせ。さもなきゃここで一戦闘させてもらうことになるぞ。三年ぶりだ手加減はできん」
「その娘、騒ぎの元凶はお前かカネン。カトリーヌの居場所を探っていたところだ」
「俺と違い貰っていってもなんら問題ないはずだ。そんな教育しかさせてないはずだな?」
「惚れたのか?」
「その質問は五年は早い。おれはただ普通の生活を教育してやりたかっただけだ」
「あははははは。普通の教育?殺ししか知らぬお前がか?まぁいい連れてけ。嫌だとは言わせないのだろう?」
レゼの証の魔法を受け渡す。これでカトリーヌはただの少女になろうと思えばなれるはずだ。そしてレゼの施設を後にした。




カネンはカトリーヌとは全く逆に育てられた現実を教養をそして武術と魔法を徹底的に仕込まれて育った。レゼのレゼを殺すための殺し屋として愛するものを失うときですら自分で止めを刺した。レゼとして生きることに何も疑問など持たなかった完璧な殺人道具として彼は動いていた。そんな彼が同輩から何人も狙われるようになった。知りすぎたための抹殺…だが誰も殺せなかった。いらなくなったのだと感じたとき彼はレゼを辞めた。それからも暗殺者は何人も送られたが殺せなかった。そして彼は森に入った静かな音と匂いどこまでも深い森、魔法を使うのをとめてみた迷いに迷いながら時々人里に下りるだけの日々。誰も襲ってこなくなった三年やっと静かに生きていけると思ったところでカトリーヌとでくわせた。彼女は黒服を脱がなかった。選ぶものも黒服ばかりで他のものを着ようとしない。カトリーヌは近隣国の言葉はぺらぺらだった。自国の読み書き簡単な計算から教えた。そして一番割いたのは常識。最初は自分以外の女を子供を怖がった。産婆にも連れて行った。最初は泣いて帰りたがっていたが子供が生まれ喜びに包まれると不思議そうな顔をして死にそうな声をあげてたのにと不思議がりながらも生まれたばかりの赤ん坊を抱かせてもらっていた。
「私もあんなふうに生まれてきたの?」
「おそらくお前も俺もな。でも不運があった。親が死んじまったか、育児放棄した」
「父上様…父親も?」
「おそらく死別だろうな。育児放棄よりたちわりい。お前は母親の身代わりに育てられたんだ」
「カネンは?」
「両親とも知らない。物心ついたときにはレゼの組織の中に居た。可愛がってくれるものもいれば恐れるものも居たし何より俺はレゼの監視役だったからな。疎まれた事のほうが多かった」
「もう森にはいかないの?」
「カトリーヌがもっと人馴れしたらな。せめて買い物ぐらいひとりでできる年齢だ」
「ごめんなさい。普通の人たちは何故か怖い」
「当たり前だ。一人の人格者としてみてる。城の中のお前は人形扱いと変わらなかった」
「カネンは私を子ども扱いばかりするし」
「じっさい14歳なんてこどもだろうが背伸びはするな」
カトリーヌがカネンに唇を合わせてくる。半分泣きそうな顔で
「受け入れてもくれないんだ」
応える方もなきそうな顔をしていた。
「だから背伸びをするな。お前はまだ覚えるべきことが沢山ある集中しろ。俺は28歳のおじさんで殺し屋だ」
その夜、カトリーヌが寝ているのを見てからカネンはでかける。女が欲しくって娼館に出向くのは久方ぶりだった。やわらかく弾力のある唇が忘れられない。まだ少女のその唇にむしゃぶれたらどれほど楽だろう。でも最悪の形で大人の犠牲になっている少女をこれ以上傷つけるわけには行かなかった。例え相手が望んでも自重するべきだろう。カネンはカトリーヌが成人するまで見届けると決めた相手なのだから。