勝手がお好き!!~徒然満載

ゲーム依存症の創作好き

魔法使いになりたくて 転生編 7-8

「きてない?何ヶ月だ?」
「もう4ヶ月になる」
「嫌だろうけどフォレストの産婆にちゃんとみてもらおう」
「…うん」
ミラーが21歳になったばかりの頃だった。産婆に見てもらうのはいい。だが男も女も遠慮なく覗きにくる。隠すカーテンもない。そんな状態で検査を受けるのである。カシオネの手がミラーに触れている。これがなかったら気がふれそうな気分だった。父親が言う。
「やっとできたか。することも忘れてるんじゃないかとひやひやさせるもんだな」
カシオネが睨む。
「できなくとも当たり前の体だ。やることはやってたさ」
「カシオネ…早く帰ろう…ここは怖い」
ミラーを抱きしめながら
「大丈夫だ。お腹の子は長女の子だ。だれも落ちるような真似はしないよ長さへね」
「でも…帰ろう。落ち着かない。視線がいっぱい」
「ああ、長女、俺たちは帰るぞ」
「ええ、どうぞ。大切にしてね」




「ミラー…欲しいこっち来て…」
「妊娠わかったばっかなのにいいの」
「それで落ちるなら弱すぎでフォレストではいらないさ」
「勝手な理由」
とミラーが笑ってカシオネの腕の中に入る。ひとつひとつはずされてくボタン。カシオネによく抱かれるようになってから服の下はショーツだけで何も着てない。それにも慣れた。胸を弄られながら後ろの首筋を舌で愛撫される。この姿勢で始まる時はたいていそうだ。そしてキスマークをつけていくのを忘れない。そしてそれだけでも感じてしまう。耳や肌を噛まれても感じるのと同じだ。ミラーの体はカシオネのいいように改良されている。背に向かって愛撫される傷がうずく。その頃にはよつんばいの姿勢になる。そこで指をかき回され後ろから挿入されるのだ。そのままもとの姿勢に戻り座ったまま突き上げてくる。楽じゃないはずなのになかなか放たれないどんな格好で何度逝かされても最後は正常位で放ってくる。もともとが犯すことが好きな人だ。自慰や奉仕はあまりさせない。辛いときもあるが女としては幸せだろう。そしてそのまま、また愛撫が始まる。対外は朝方まで続く。日をまたぐこともある。欲の強い人だった。




そして、子供が生まれ、長女に引き取られていく。
「カシオネは子供が欲しいと言ったわよね。自分で育てられなくても欲しかったの?」
「欲しかった。長女の元でなら一流の錬金術師になるさ。それは俺の夢でもある」
「カシオネは一流と言っていいと思うのだけど」
とカシオネを覗き込む。
「一流の腕を持っているからと言って一流に育つわけじゃない。俺はお前を愛して一つだけ捨てた夢がある。フォレストの改革だよ。禁術をやめさせ、強者の横暴を止め、富よりも名声を重んじるフォレストにしたかった」
「私が邪魔しちゃった?」
「お前はフォレストの中では生きて生けない人間だったし、光の者だったから恥辱を負う可能性は大だった。そして何より俺は一時でもお前を手放したくなかったから。始めて出会った日俺たちの運命は既に決まってたんだ…」
「うん」
極上の笑みを浮かべるミラーだった。子供がどう育つかわからない。カシオネの夢はカシオネのものであって子供の夢じゃないそれでも叶うような気がした。




「よくも、まぁ、鶴の一声とはいえ、子供を手放したもんだな」
とカデン。
「仕方ないさ、俺はフォレストの人のようでいてフォレストに実際属しているわけじゃないからさ」
「ミラーはそれでよかったの」
「もとより子供が生まれる可能性のがひくかったんだもん…あ、あれ、やだな。涙がでてくる」
カシオネが立ち上がりミラーを後ろから抱きしめる。
「ごめんミラー。平気なわけないよな」
「平気よ私にはカシオネがいる。それで充分なはずなのに、おかしいな」
とミラーは泣きながら笑う。その後24歳の時にもう一人子供が生まれるがその子も長女へとあずけた。願わくばカシオネの夢がかないますように…




30歳くらいになった時、ミラーはもう子供の埋めない体になっていた。狩りを終えて後ろから抱き込まれる。顔を上げると口付けがきた。この姿勢で長時間の口付けは辛いのですぐに止まる。ミラーが言う。
「これくらいかなぁ…」
「なにが?」
「夢で私たち死んだの…私の死んだ相手、今のカシオネそっくり」
「それをいうなら俺の夢も死んだのはこれくらいで相手はミラーそのものだよ。俺たちは生まれた時から同じ夢を共有していたんだね」
「そんなことってある?」
「ミラーは輪廻っていうものを信じるかい?存在するなら俺たちは、その夢のように出会っていたのかもしれない」
「輪廻ねぇ」
「信じない?」
「どうでもいい。今がカシオネと幸せなら…それ以上の幸福はない」
「後は歳をとっていくだけだよ。幸せを感じながらね」




カシオネは時々フォレストに狩り出されるものの。それ以外は平和だった。フォレストでカシオネは死を覚悟して自分の理想を語り続けた。それに一番賛同したのも長女でいつかそんな日に戻れるといいと言っていた。カシオネは戻れる?フォレストにもそんな時代があったのか?とも思う。長女の占術は強力でいつも何が見えてるのかわからないから、そんな過去が見えててもおかしくない。それでも、なるといいじゃなく、戻るといいという、言葉が耳についた。ミラーの方は狩りに明け暮れている。始終カデンとシャンデリアと組んで狩りをしているみたいだが不思議と妬かない。安心して錬金術に専念できた。きっと二人の絆は特別なものだったし、ミラーは生まれて始めてカシオネ以外のものを受け入れていた。それでも離れろと言えば離れたし、一人で今日は狩れといえば、どんなに強くてもカデンたちに泣きついたりはしなかった。その絶対的なカシオネの言葉に縛られているミラーを感じる度に、一種のカシオネ独特の性癖が満たされ後で抱く楽しみに熱が入っていくのだ。




50もすぎた頃だ。
「何があった!シャンデリアがやられるなんて…」
「俺をかばったんだ。魔法じゃ間に合わなくてな…シャンデリアの魔力も威力も最近落ち気味だったから…確実に俺を守れるほうを選んだんだろう」
「魔力が落ちていってたなんて何故だ、そんな大事なこと黙ってた」
「仕方がないからだよ。俺たちは70歳を越えた。魔術も体術も衰え始める頃なんだ」
「言ってくれれば手助けをしたものを」
「すまない。二人の時間を大切にしたい年齢になったんだ」
シャンデリアは静かに死んでいった。




ミラーも70を過ぎると魔力も体力も愕然と落ちた。狩りどころではない。普通の生活に支障をきたすほどに弱っていった。カシオネはそれでも錬金術を続けられていたがフォレストへ出向くのが辛くなっていた。そんなある日、長女に言われる。彼女は100を超えているはずだがしっかりとしている。
「貴方達の寿命が近づいてるわ。連絡の水晶球を持って、もうフォレストには来なくていいから終わる準備をしなさい。それから禁術の作成は、しないことになった。まだはじめの一歩だけど私の…貴方の子供たちが孫たちが後を継いでくれるわ。その意志を…」
カシオネは笑って
「ありがとう、ねえさん」
とだけ言った。まもなくミラーは寝たきりになった。部屋を片付け工房を片付け、カデンに連絡をとり、ミラーを抱いて外に出る。結界をでてちいさな木陰でミラーを抱いて過ごす。ミラーは三日後に逝った。さらに三日後にはカシオネも逝った。二人を見つけて
「寿命だと?はやすぎないか?俺はまだ生きてるぞ、カシオネ、ミラー?」
とカデン。
「魂が限界まで来ていたの。寿命が縮まるほどにね」
と後ろから声がする。
「気配も読めなくなってるか、俺も近いな。あんたは?」
「カシオネの姉よ。二人を葬りに来たわ。炎よ二つの遺体を燃やしつくせ」
「…あんたが長女か」
「そうよ。私も久しぶりに長生きしてみるもんだわ。やっと二人の幸せそうな死に顔を見れた。最後の最後にね」
「言っている意味がよくわからないのだが…」
「知らなくていいわ。ただ…貴方の輪廻もここで終わるわ。ごめんなさい」
「な…に…」
ガクンと倒れ急に命尽きるカデン。魂が長女の体に吸い込まれていく。空中操作でカデンをカシオネたちの炎の中に入れて燃え尽きるのを最後まで見ていた。
「来世ではフォレストが少しましになってるかしら?楽しみだわ。カシオネの友達ごめんなさいね…」
フォレストに帰ると同時に長女も死んだ。その二ヵ月後に代替わりしていた長の孫の長男が長女を産む。フォレストの守り神に休みは与えられそうになかった。




もうカシオネもミラーも生まれてこない。生まれてきても全くの別人だろう…
二人の永遠はこうしてやっと終わりをつげた。













転生編 7-7
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転生編 終章
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1
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4.5
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17
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本編終了 継続あり

上級生偏
25
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30.5
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白魔術学校偏
32
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35-カシオネサイド
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社会人偏
36
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38-エンジェルサイト
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交流偏
39-1
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39-ミラーサイド
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39-カシオネサイド
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67終
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外伝 エンジェルとトワイヤル
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カルラナ偏
68
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82終
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転生編1-1
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転生編2-1
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転生編 3-1
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転生編 4-1
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転生編 5-1 
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転生編6-1
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転生編 7-1
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転生編 カシオネ
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転生編 ミラー
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終章
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