勝手がお好き!!~徒然満載

ゲーム依存症の創作好き

魔法使いになりたくて 転生編 7-7

「カシオネ?学校生活は大丈夫?」
「大丈夫だよ?なんでそんな事を聞く」
「会うごとに顔が厳しくなってる。学校、辛い?問題起こしてない?」
「そんな風に見えるか?」
「隠そうとしてるみたいだから何もいわなかったけど今日は険しすぎる」
ミラーを抱きしめる。
「ミラーには隠せないか」
「一年のときから一緒なんだよ。小さな変化も手に取るようにわかる」
「交際を申し込んできた女の子にナイフ投げしたら顔に傷をつけてその女、半狂乱になってな、傷は治癒魔法ですぐに消えたんだが三日の独房入りしてた。今朝でたばかりなんだ」
口付けをすると服を脱がしていくカシオネ。
「狩りは?」
「今はお前が欲しい」
そういうと押し倒した。三回ほど抱くと昼食だった。パンを食べながら
「昼から狩り間に合うかな」
「その知識はカシオネの方があるでしょう?」
とミラー。パンを一つ食べると二つ目は食べかけでぶらぶら持っている。
「なんだもういらないのか。寄越せ」
そういうと食べてしまうカシオネ。
「村のパン屋のパンは美味しいけど大きいのが難点だわ」
「そっか?普通だと思うがなぁ。だいたいお前は食べなさすぎる一人になってまた小食になってないか」
「なってる気がする」
「お互い辛い三年間だなぁ…狩るぞ」
「うん」
と立ち上がる二人。朝のほうが岸辺に集まるといった吐き蛙を居た分だけ串刺しにし、捕えてく。げこげこ吐くが、その成分が欲しいのじゃない。吐き袋の皮が欲しいのだ。
「処理しなきゃならないから全部学校に運ぶわ」
と言いカシオネは帰った。帰ると特別条例がでていた。カシオネ=フォレストに交際を申し込むもの一日の独房入りを処す。また無闇に近づきしもの同上と処す。用あるき者は先生と同伴のこと。カシオネは大声で笑った。過去に個人を名指しで条例にしたことなど数件とあるまい。どんなに悪名高くなってもその実力がある限りフォレストを退学にするわけにはいかないが、ここのところの騒ぎの多さに苦肉の策だろう。カシオネの周りは静かになった。カシオネは空き教室の一つを陣取り学習していた。学校側の処置である。もう学習室での学習に限界を感じたのだろう。そんなことはどうでもよかった。もともとミラー以外に興味のあるものはない。ミラーを将来守れるように今は我慢して学校に残り学習しているだけだ。そう不思議と最初からミラー以外への関心は薄かった。始めて声をかけてくれた子だからだろうか?フォレストの怖さを知らないミラーに半分冗談で一緒に大人になろうと言った。迷わず運命を決めてしまった少女にドキドキしながら将来を誓い合ったのだ。苛める奴は居ても味方になってくれるものはいない。そんな特質の中で二人だけの世界を作り上げてきた。側にさへいられればどんなことをしても暴走を止めれた。フォレストが父親で責任を取ったように今回のも学校の責任だ。それをミラーに押し付けた。何かが間違ってる。だけどもうそれを言っても仕方がない。ミラーは学校に居ない。自分と同じように一人で学習してるに違いない。そう思うと自然と学習にも実が入ってきた。




大きな爆裂音。ミラーは慌ててでていくとそこには長が居て結界を壊しにかかってきた。ミラーを見つけると
「この結界を解け」
ミラーは素直に
「結界の解き方など知らない」
一般の結界解除の魔法ならフォレストのものなら知ってるだろう。
「なら、お前こっちに来い」
「いやです。長の命令でも私はカシオネの言葉なしではこの家を離れたりしない」
「急用だカシオネに話をつけてる暇はない」
「でも、私は二度目の暴発を起こして退学になった身です。三度目は絶対におこしたくはない」
「その話はカシオネから聞いて知っている。こちらとしても三度目の暴発で、これ以上、フォレストに被害をだしたくない」
「フォレストにつく前に何かすれば被害は最小限ですむ。ここらはなにもないのだから…簡単にはでられません。」
「娘が死に掛けてるのだ。治癒玉が間に合っていかん強い術者が必要なんだ。助けてくれ」
「私の術は能力は高くても治癒は人並み…そうだ!!待ってて」
と家に入っていくミラー。戻ってくると
「カシオネの作った治癒玉です。威力が違うはず」
と三玉渡す為に手をだす。結界から引きずり出される。
「俺に娘は居ない。この玉は貰っておこう」
ミラーの力が沸騰する騙された。
「光よ敵に最大限の苦しみを」
「う、うぎゃーーっ」
落とした玉を拾い結界の中に入る。
「私は馬鹿だけど子供のままだと思わないで」
「ひ、ひぃーっ。助けてくれ、助けてくれ」
と転がりまわりだす。
「効果時間はそんなに長くないはずよ」
とミラーは家の中に入っていく。しばらくして、玄関を叩く音がする。びくっとするミラー。結界を破ったものがいる!おそるおそる玄関の窓を覗く。長女だった。扉を開けるミラー。
「お願いだから長の苦しみを解いて。発狂されても困るのよ」
「まだ続いてるの?」
長は悶絶していた。
「結界に入ってきたおねいさんなら解けなかったの?」
「やってみたけど解けなかったわ」
「光よ一人の最大限の苦しみを解きたまえ」
「ありがとう」
そう言うと長を起こしにいく。長は起きて怒り狂っていたが結界はどの魔法をかけても解けなかった。
「貴方が要らぬことを考えるからいけないのでしょう。二人はそっとしとけと言ったはずよ」
連れて帰っていった。おねいさんは結界を破らずに入ってきた何者だろう?それともカシオネがおねいさんだけは許したのか…




後で聞いたが許した覚えはないという。自力で入ったことになる。カシオネは
「長女ならその力もあるかもとはおもったけどな」
他は特別なことは起こらず。カシオネも条例のせいで落ち着いた事を話、二人は卒業まで静かに過ごした。




「卒業おめでとう、カシオネ」
「待たせたな、ミラー」
「明日からはフォレスト通いだ。状況を聞いて作れるものならば家に帰ってくるがフォレストじゃないと作れないものもある。材料が全部そろってるわけでもないしな。そのまま帰れない日もあれば、朝から狩りに行く日もあれば、一日休みをとる日もある。ミラーにも狩りに動いてもらう日も多いと思うがよろしく頼む」
「了解です。私もカシオネの出した課題のとおり、一人狩りマスターしてきたからね。大丈夫だと思うよ」
「だが、充分気をつけろよ。狩りの獲物だけが敵じゃない。お前は光の者ですでにフォレストの一員だからな」
「そしてそのフォレストさへ仲間じゃない」
「そういうことだ」
「カシオネが居ればいい」
「俺もミラーが居ればいい」
そうしてむさぶるように次の日まで互いを求めあった。




すでにお互いしか信じあわない二人だったが転機が訪れる。
「カシオネ!後ろ。光よ加護結界で一人を包め」
それと同時に聞こえる知らぬ声。
「炎よ虎を炎で焼き尽くせ」
「風の結界よ守護結界となり四人を包め」
男と女の声。
一斉に襲ってくる虎。知らぬ二人の重複呪文
『炎よできる限りの虎の心臓を燃やし尽くせ』
ミラーの
「風よできる限りの虎の息をできなくしろ」
「あーあー獲物を台無しにしてくれて」
とカシオネはやっと立ち上がる。つかつかと歩いていく女。カシオネよりは背が低いが連れ合いの男とはさほど背丈が変わらない175センチは超えているだろう。ポニテールを揺らしてカシオネを平手打ちにする。
「狩りも命あってのものよ。獲物の状態を気にしている場合じゃなかったでしょう」
「わりーな。咄嗟で強力なのは馬鹿の一つ覚えなんだ」
と男の明るい声。ミラーは睨みつけているだけだ。助けられた。でも状況が読めない。
「虎を狩りにきたのだろう。ここらの虎は集団だ。二人じゃ難しいと思うが。助けたついでだ、こっちの採集にもつきあえや」
虎を片付け、少し歩く
「こんな所に血治花が…」
「貴重なの?」
「貴重というより探し出すのが難しい」
「ほら採集袋」
「いいのか?俺たちに在りかを教えて」
「誰にでも教えるわけじゃないが、二人で虎狩りなんかしてたとこみると仲間も居ないんだろう?俺たちも二人じゃ厳しい狩りもある協力してみないか?といおうとする相手にまず花を贈るのはセオリーだろう」
「名前は?」
「俺はカデン、女はシャンデリアだ。ここから東の森に住んでる。招待するよ」
「俺はカシオネで女はミラーだ」
採集が終わると本当に招待されてしまった。こじんまりとした建物は綺麗に飾り付けられてどこも美しい。皮が敷き詰められている。その皮を見る限り腕の立つ狩人だと想像はついた。
「工房はないのだな」
「俺たちは純粋な狩人だよ。狩ったものは店屋なんかに降ろしてる」
「なら、言い値を言えば売ってもらえるのか?」
「店との付き合いもあるから全部とはいかないが金次第だな」
「物々交換ってのはどうだ?材料をもらい製品を渡す」
「お前、狩人じゃなく錬金術師か?その割には強かったな」
「一人で何でもできるようにしときたかったからな。それにミラーは純粋な狩人だ普段は一人で狩っている」
「一人ってのは危険だな。いざって時の対処ができない」
「大丈夫よ、無理なものは狩らないし、深追いもしない。無理しちゃうのは、カシオネの悪い癖だわ」
「なんでギルドに属していない」
「属してるよ。正確には俺はカシオネ=フォレスト。フォレスト家の直系だ。だが普段はミラーと二人で人里離れて暮らしている。…ミラーに問題あってな。俺も今のフォレストは好きじゃないし、周りに信じられるやつなんていやしない…これからも…」
「問題ってなんだ」
「出会ったばかりの奴にそこまで話せと?」
「始めてだから聞いている。後になって斬りあいはごめんだ」
「ミラーは人間で…光の者なんだよ。そして体は俺しか受付ない。そのせいで力を二度暴発してフォレストを滅ぼしかけ、学校を退学になっている」
「何をされた?」
「無理やり口付けられただけだよ。ミラーにとってはただじゃすまない事だからこそ暴発するんだけどさ」
「どこをどうすればそこまで女を抱きこむことができるんだ」
「私の性癖だと思う。最初からカシオネしか見てなかった。他の人となんて考えれなかったし、考えたくもなかった」
「カシオネと知り合う前はどうだったんだ?」
とこれはシャンデリア。
「…カシオネと知り合ったのは学校で六歳のとき、その前は一歩も外へ出ることを許されてなかったわ…」
「大事に育てられすぎたか?」
「生まれたときから胸に剣のあざがあったわ。そしてその頃からちいさな暴走はあったの。母は悪魔の子を生んだことを知られたくないから病弱な女の子として外にださなかった。魔法学園から入学手続きがきた時、喜んでサインしてた。休みには戻るはずだったけど二度と顔をみせるなと出されたから…帰れなくてずっとカシオネの側で学校生活は送っていたの…」
「何故、黙ってた。そんな頃から暴走があったこと…」
「怖かった…少なくともその地点で両親は死ななかったし…何故暴走したか覚えてない…」
「それでも話せ。そーゆことはこんな場ではなく」
「ごめん」
「まぁ、いいじゃないか。わかったのは暴走しやすかった程度のことだろう。今はカシオネが守ってるだろう?それより一緒に狩しないか?四人なら結構大物も狙える。獲物は半々で分ければいいだろう。な?気楽にいこーぜ」
こうして四人の共有関係は始まった。




少しずつだがカシオネもミラーも心を開いていく。彼らも分けありでギルドに所属してないのはわかりきっていたが、自分たちを弟、妹のように可愛がってくれるし狩りの腕も相当なものだ。金次第だと言っていたわりには買い取り価格も高くない。なにより二人で生きてきたことを褒めてくれる認めてくれるそして彼らもまた二人で生きて来たのだろうなと思わせる。二人は親近感を持っていった。この歳になって始めて二人は二人以外の人間を認めようとし始めていた。




ミラーが狩りの帰りにカデン、とシャンデリアに送られて結界に入ろうとする瞬間。フォレストの長が飛び出してくる。ミラーの両腕を羽交い絞めして持ち上げる。そのまま詠唱に入ろうとした長の移動魔法を解除魔法するカデン、その間にシャンデリアは長の首に短剣を付きつけた。長は
「身内の揉め事だ遠慮してもらおうか」
「ミラーが光の者でフォレストの直系を半分以上殺してることは話に聞いてるわ。そんな身内に、はいそうですかと渡せるわけないでしょう」
「俺はまだなにもしてない。殺せば殺しだぞ」
「かまわないわよ。ただの人殺しでも。それでカデンに捨てられるわけじゃないわ。むしろやっと心を開いてくれた二人を奪われる方がよほど痛いのよ。何しようと企んでいたの」
とシャンデリア
長は沈黙する。そこへカシオネが工房からでてくる。工房は無音設計だ。あまりの状況に把握に遅れるがやっと
「長、あんたミラーに何しようとしている。また力を暴発させたいのか」
「そっちの用意は万全だ。」
そういうと玉を割る
「強力な魔封じだ。二日は魔法が使えまい」
そういうと片手でミラーを吊り下げたまま短剣をしまい、ミラーの胸をもむ。
「いやーっ!」
「力は暴走し光がどんどん大きくなる」
「闇よ一帯の光をもみ消せ」
闇が太陽さへ包み込む。真っ暗な闇。長が
「高レベルの黒魔術師か…魔封じも効かない様な!」
「そしてミラーにも魔封じは効いてないぞ。闇の魔法がこなかったらどうするつもりだった長」
とカシオネ。ミラーを離し長は駈けていった。
「ありがとう。二人がいなかったらと思うとぞっとするよ」
とカシオネ。
「でも、ばれちゃったわね。私が黒魔術師だったことついでに言っちゃえば高レベル殺し専門よ。カデンが私を救ってくれたわ。それからは隠れるように暮らしてずっと一緒」
とシャンデリアが笑う。
「ついでに聞くとカデンさんは何者なんだい?」
「家に反発して出てきた落ちぶれた術師さ」
「家をでるか…長女が居る限り不可能だろうな…」
とカシオネ。
「守ってくれてるのも、その長女なんだろう。義理ははたせ。じゃないと後で後悔するぞ」
「そうだな。お茶でも飲んでいってくれ。ついでに花茨を買ってくれると助かるんだが」
「花の綺麗さに負けて茨で怪我すると一生眠り続ける毒に当たるのが花茨だな。買おう」
こうして四人の関係は深まっていった。


















転生編 7-6 
http://d.hatena.ne.jp/MitamaToki/20140512





転生編 7-8
http://d.hatena.ne.jp/MitamaToki/20140513