勝手がお好き!!~徒然満載

ゲーム依存症の創作好き

魔法使いになりたくて 転生編 7-6

九年生になろうとする夏。フォレストから一度もカシオネは帰ってこなかった。課題が難しいものになっているのだろう。それは容易に想像ができたが、ミラーにとっては寂しいものだった。最終日の深夜、カシオネが戻ってくる。起こすべきか寝かせておくべきか迷っていると、ミラーの手がぽんぽんと布団を叩いている。この休みの間、こうして自分を無意識に探しているのかと思うと愛しくて仕方なかった。ミラーの横に寝ながら頬を軽く叩く。ミラーにしては覚醒が早かった。ずっとこんなに眠りが浅かったのだろうか?ただミラーは
「おかえり」
と言って寄り添った。カシオネはのしかかりしばらく口付けをした。そして
「ただいま」
といい眠りについた。次の朝食事をとりながらカシオネが言う。
「全ての課題は終わらせた。後は実務だけだからこの家の工房でこなすよ。冬からは寂しい思いはさせなくてすむから」
「本当?」
「こんなことで嘘ついてどうする」
「ううん大変だったろうなと思って。まだ九年生なのに終わらせちゃうの」
「大変だった。ミラーの背中に傷がついて以来一度も失敗してない。全て一回でクリアーしてきた」
「そっか…背中の傷を治療してた痛みに比べればカシオネのやった意地悪なんて対したこと無いね」
くすくす笑うミラー。
「そんな事いうと、また痛みつけるぞ」
「耐えたでしょう?まだ他に恐ろしいこと考えてるの?」
「さて、どうだろうな。とりあえず食いつきたい」
「とりあえず、それはおあずけね。学校行かなきゃ」




こうして九年生の生活が始まった。だいたい60人二クラスしかない学年は一年ごとにクラスがいっしょになるのだが二年続けて違うクラスになることは珍しい。まぁ、ランダムなのだからぜったいありえないことではないのだが…それでも毎時間ごと様子を見にくるカシオネとそれに応えるミラー。校内では有名なカップルになりつつあった。ある意味八年間二人はまともに距離を開けたことないのだ。離れるとどうなるかはトイレの事件で思い知った。嫉妬とか恋慕とかは怖いものだと。そして二人は引き離される突然だった。カシオネに10日。独房では最長の入りを強要を言い渡される。
「何故だ。俺は何もしてないぞ」
「貴方には前科があるわ。そして28名の女子生徒が四年生から12年生まで貴方に髪を切られ首を絞められたと申し出てきたわ」
「そんなことありえない。カシオネはずっと私の側に居たわ。頭の中を覗いてみればわかることよ。カシオネは無実よ」
先生は頭の中を覗く。
「確かに女の子を襲ってる記憶はないわ。ただし寮を抜け出してる記憶はある。運動をしてるようだけど、フォレストなら記憶のすげ替えを見せるのは簡単じゃないかしら」
「そんな横暴な、フォレストだからってあんまりだわ」
「女の子達の頭の中も覗いているのよ。確かにカシオネらしい人に襲われているわ」
「そんな…何かの間違いだわ」
「ミラー貴方が信じたいのはわかるわ。でもカシオネは過去に髪の毛を切ったこともあるし女の子の体を傷つけたこともある。傷つけられたあなた自身がよくわかってるはずよ」
「よくわかってる。傷つけるならまず私を傷つけるわ!」
「ミラー俺が10日間独房に入ればすむことだ。それより自分の身を守れ。危険な予感がする」
「全くだわ。先生、死人がでても知らないからね。ミラーは自分の身を守るためなら人だって殺す。実際フォレストでは口付けさへ我慢できずに力が暴発したわ。何人死んだと思う?28人じゃきかないからね」
と睨みつける。
「カシオネは独房に弱いんだから10日も入ってたら発狂しちゃうわ、責任とってよね」




ミラーは考えていた。髪の毛はどうとでもなる。襲っている姿をみてカシオネと勘違いしたのなら褐色の肌に濃い蒼目。後は背格好が似ている人物…瞳もどうでもなる…人間界にはカラーレンズという便利な目の色を変えるアイテムがあったはず。同学年にはいない。背格好が一緒なら上下二年差あたりまでか。絶対、捕まえて先生に突き出してやる。先生のフォレストへの偏見も頭にきていたミラーだった。ミラーは幻覚で姿を隠し七年のクラスから12年のクラスまで授業中に人を探し回った金髪に碧眼。典型的な美少年だがその肌は褐色。混血児でもめずらしい。授業を終わるのを待つ。背丈肉付き…ほぼ間違いなくこいつだ。11年生の中にその人は居た。夕方の授業が終わるのを待つ。
「そこのお兄さん、少し付き合ってもらいましょうか。ミラーだと言えば用件も何者かもわかるかな?」
「よく、知ってるよ。なんの変哲もないチビ。多少はかわいい部類にはいるかな。でも大人の喜ぶ顔でもない。何故、君が彼の側にいるかと言えば生粋のマゾヒスティックだからかな?」
「童顔なのもチビなのも認めるけどマゾじゃないわよ…たまたま愛した人がサドだっただけだわ。私はそれを知る前に彼の側にすでに居たもの。場所変えましょうか、牧場にでも」
牧場にきたとたん後ろから声が聞こえる
「大地よ一人の全身の動きを封じよ」
同時に流れるミラーの声
「光よあらゆる束縛に抵抗し一人を光の輪に拘束せよ」
ミラーの魔法は効いたようだ。相手の動きを封じこちらは動ける。
「大地よ一人を石の檻に封じ込めよ」
先生を呼んでくるミラー。授業を中断させ呼んできたのである。これで犯人じゃなかったらミラーも処罰ものだった。先生は檻を解き頭の中をさぐる確かに犯人だった。先生は慌てる。
「とにかく光の拘束を解いてちょうだいミラーと言う」
すごく嫌そうな顔をするミラー。
「大地よ一人の全身の動きを封じよ」
をかけ光の拘束を解く。
「大地の拘束もいらないわ。先生がついてるのよ」
と言って解いてしまう。男の行動は早かったミラーに飛びつき押し倒すと首を絞める息ができなくて口をあけた所に舌を差し込んできた。それと同時に光が発動する。先生が消去魔法をかけるが消えない。フォレストのときの比ではなかった牧場に居たのに学校半分を飲み込む。突然のことに誰もその危険に気付かずに死んでいった。皮肉なことに先生と男は防御魔法で助かっている。ミラーにとって味方はカシオネだけだった。ほとんどの者が敵と見なされ死んでいったのだ。ミラーは独房の前で座り込む。
「助けてカシオネ…またやっちゃった」
ミラーは金の加護結界に閉じこもりでてこない。ただ、ひたすらに泣いていた。被害は最小限だったと言える。棟の半分は特別教室や学習室、娯楽室で授業中だったこともあり理科の実験を行ってた二年生一クラスと授業をサボっていた生徒12名。先生が一名、牧場の管理主一名が被害にあった。計47名の死者がでた。最小限といえど学校としては大惨事である。ここでもミラーは人間の醜さを見ることになる。拘束を解いたのはミラーの意思であり、その結果くちづけされ暴走したことになっていた。止められなかったのは実力が桁はずれだったのと男と自分を守るので精一杯だったと。カシオネが独房からだされミラーをどうにかしろという。
「ミラー俺を入れてくれこの結界の中に…守れなくてごめんね」
結界がすーっと解けていくカシオネに抱きつくミラー。二人で口付けを交わす。ミラーは腕の中で震えていた。
「ミラーの殺戮の件に関しては男と先生とミラーとの記憶を冷静に見れると思われる校長の判断をあおぎたいと思います。できれば俺が独房に入る前からの記憶を探っていただきたい」
「私は先生よ覗かれるような真似はしてないわ」
「逆を言えば覗かれて困ることもしてないということですよね。でも先生だってただの人だ。おれは信用してない。今回のことは俺が独房に入ったことが発端です。俺の提案を受け入れてください」
最初に口を開いたのは医務室の先生だった
「私も賛成だわ。どう見ても加害者のミラーが一番参ってる。医務室の者としては真実をもっと細やかに知っておきたいわ。ミラー、カシオネ来なさい。二人とも顔色がよくないわ。どんな結論にしろ医務室で待たせてもらいます」




しばらくして先生と男と校長と28名の女子が入ってきた。それぞれが一人ずつ頭を覗くのではなく幻覚みたいに光景が映し出された。それぞれに違う記憶が映し出される。女の子達の記憶は曖昧で褐色の肌と少し伸ばした茶髪。それが記憶され=カシオネだと思い込んでた。一人残らず髪の毛をきられ首を絞められそのまま口付けをされる。しかも28名は髪の毛がショートではなく伸ばしぎみのカシオネにふられた女子生徒ばかりだ。そして男と先生の記憶、カシオネとミラーの記憶が映し出される。
「まず、ソリス。君は先生というたちばにも関わらずミラーの警告を無視し、その場での不安も無視し先生という立場の能力を過信しすぎた。強制退職を命ずる」
淡々と校長は言っていく。女生徒は1年の医務室でのカウンセリング、男子生徒は10日の独房行き、カシオネは謝罪と錬金術室の無許可使用可能処置、そしてミラーには退学処分が言い渡された。
「そんなミラーは悪くないだろう。必死で犯人を捜し、汚されて暴走しただけだ。先生さへ男の自由を解かなきゃ暴走はなかった」
「だがのう、暴走は起きた。死んだ生徒達への釈明にも処分なしとはいかないし、故意でなく暴走という点でも今後起きないとは限らない先生に止めるすべがないほど魔力がそだっている以上、退学を持って処理するしかないのじゃ」
「ミラーを俺の側から離さないでくれ、それだけで暴走は止める。卒業まで俺がきちんと面倒みるから!」
「生徒一人に危険因子を任せて信用するわけにはいかん」
「いいよ。カシオネ、家に戻って勉強と狩りしているわ」
「ミラー…ごめん。俺はお前を守り通せなかった…」
ミラーは寂しそうに笑いながら首を振る。
「私はまだカシオネの腕の中に居る。待ってるから冬休み」
「そこまで待たなくていい。毎週日曜迎えに行く。一緒に狩りをしよう。そうしてお互いの成長を確かめ合おう」
「ミラーはもうこれ以上成長しないよ。去年から背丈止まってるし」
「何センチになった」
「150ぴったしかな…」
「そっか」
こうしてミラーは退学して行った。




「おはよう、結界のはりなおしと魔法の鍵かけ変えといたから長も入れないはず」
「そこまでする必要あるの?」
「一人で暮らすなら。もっと厳重にしときたいくらいだよ」
「狩りに出ようか」
「うん」
「その前に…」
口付けをしてくる。そして性急に指が中に入ってくる。
「カシオネ…ここ玄関」
「誰も入ってこないよ。それより中に注ぎたい。学校を辞めたなら子供を作ろう」
「カシオネ…作っても…」
「わかってる…それでも欲しい」
「立ったまま行くよ」
片足をもちあげると入ってくる。いつもの余裕がない。放たれて…
「ごめんね。俺だけいってる」
「いいよ別にそれで満足するなら」
「満足なわけないだろう女をいかすだけいかしていけるのが一番気持ち良いに決まってる。でも狩の時間もあるから…冬休みまでは子作り優先の朝一番」
「もう」
「気持ちよくなくてごめんね。俺は抜けるだけでも違うけど。さぁ行こうか」




「今日は桃鹿を狩るよ。鹿は結構強暴だからもっと後のほうがいいんだけど、桃鹿はその中でもすごく大人しい部類に入るんだ。そして体を傷つけたくないことから心臓で直接殺す練習にもなる。風がいい土がいい?」
「練習なら炎でも水でもいいよ」
「いや確実には仕留めたい土でいこうか」
山の中歩くこと30分ほどで見事な桃色の毛をまとった鹿たちをみつける。この距離で充分とどくだろうと思った瞬間止まる。考えることは同じらしい。指が3本立てて折られてゆく。
『大地よできる限りの桃鹿の心臓を石に変えよ』
バタバタと倒れていく桃鹿。もう一度できそうだ。
『大地よできる限りの桃鹿の心臓を石に変えよ』
いうまでもなく声を合わせてくるカシオネ。だてに二年から実践はやってない。カシオネが敵に回っても味方に回っても、だいたいの魔法のタイミングはわかるようになっている。ただミラーが光の魔法を自然と習得しバリエーションを増やしたように、カシオネはあらゆる魔法を幅広く自然と習得していた。錬金術が絡めばもちろんのこと、術戦だけでも対峙すれば負けるようになっている。悔しいがこれでまだ魔力が足りなくて使えない魔法があるのだ。ミラーの方はほぼ成長しきっている。暴走の威力からも考えてもほぼまちがいない。魔力はこれ以上伸びないだろう。精神力、抵抗力を伸ばすしかない。もっとも魔法の数以外はこの地点では、はるかにミラーの方が上回っていた。二人で仕留めた数は全部で16頭。これを転送袋で自宅に転送する。何もない部屋をあけてあるのでそこが転送先になっており処置室となっていた。カシオネのいわれるまま丁寧に皮をはいでいく。桃鹿の一番貴重な材料である。主に染料になるほか頬染めや髪染めなどはもちろん。止血や貧血にきく薬にもなるらしい。他にも角と爪をとり取った2/3を家に保管し、1/3を学校にもって戻っていった。




そんな日々が冬休みまで続き、休みに入る。カシオネは帰ってきてすぐに錬金術室に閉じこもってしまった。仕方なく後ろで見ているミラー。これだけでも心が落ち着く。やはり休みの間だけでも一人で居るのは寂しい。学校を退学になってから休みの期間はもっと長い。寂しかった。学習は下手に授業を受けるより進んでいたが、術戦は一人で確認するしかないし、結局狩りが主になった。四日かかった。終わると口付けされ
「これで三つ薬を作った」
そのひとつが媚薬だった。
「たぶんおやじの作ったものより強力だけどね」
といたずらそうに笑う。食事を済ませその夜は普通に添い寝した。起きると薬を飲まされた。そのまま半日過ごす。薬はすぐ効いてきて服がすれるだけでもどうにかなりそうだった。でもカシオネは抱かない。昼食を食べると寝室で衣類を全部カシオネは脱いでしまう。
「その口で俺のものを立たせて」
という。ミラーには初体験だったがカシオネが欲しい。そんな微熱に犯されて言われるままくわえた。
「歯だけ立てないでね」
と言うと頭を押さえ込まれ喉の奥に男のそれが入ってくる。息ができない。何よりも異物感一杯で苦しい。逃れようとして頭を上げ口から離れようとするとまた押さえ込まれる。しまいには頭をもち振られる。凄い勢いで上下運動をさせられたかと思ったら頭をぎゅっと強く押さえ込まれカシオネはいった。放れたものは飲み込むしかない。飲み込むとやっと頭からてが離れた。ケホケホするミラー。
「ひどい…」
「うん。最初から苛めさせてもらった」
そういうと自分も媚薬を飲んでしまう。
「カシオネ?」
「この半日の差が何を意味するかわかるかい?ミラーは苛めたおされるってこと」
そう言うと口付けしてくる。
「男のものはそんなに美味しいものじゃないね」
そういいながらもまだ深い口付け。ミラーも激しく求めてくる。口付けだけで二人ともいってしまいそうだ。前戯なしで二人は繋がった。半日じらされたミラーは充分だったし媚薬を飲んだ地点でカシオネもすぐに立っていた。二人は食事もせずに二日戯れていた。勢いでアナルも経験した。媚薬がきれると副作用で濡れても来ない。それを知っててカシオネは蜂蜜を塗り抱いた。敏感すぎるくらいに感じてた勢いが急に止まるのだ。それなのにカシオネの勢いは止まらない。わざわざ半日焦らしたのはこの苦痛を与えるためかと思うとつくづく意地悪な人だと思った。その後、術戦と狩りを繰り返し行い。勉強の調子を見る。また錬金術に入ったかと思うと今度は一日ででてきた。残りの三日間、また抱かれ通しだった。カシオネは媚薬を使わなくても…使わないほうが強かった。念入りな前戯になかなか放たない男のそれでミラーは何度もいかされる。もう駄目かと思うほど気を失いかけそうなところで放たれる。そして口付けから愛撫へとまた繰り返される。最後の日の朝方まで抱かれて
「寝なくて大丈夫なの?」
「中間はたっぷり寝てたし、今日も二時間ほど寝た。充分だ」
そのまま学校へ行った。ミラーの寂しい日々がまた始まった。




カシオネの方はカシオネの方でミラーがいなくなったせいもあり周りの女が騒がしくなった。学校の処罰もあり、対向するミラーもいなくなり、それほど酷いことはできないだろうとの判断でだが、カシオネはそっけなかった。遠慮なくふると勉強に戻る。ミラーがいなくなったことでカシオネの方は荒れてた。短剣を持ち歩き、簡単に諦めない生徒には迷わずつきつけた。そして首に剣を当て血をにじませるか、一気に制服を引き裂く下着も切れ胸から腹に浅く傷がつくことなど始終だった。当然、独房に入れられるがカシオネは反省などすることがなく、余計に荒んでいくだけだった。独房に入った日は一日だろうと五日だろうとカシオネは医務室で一日休む。そこで短剣を取り上げられるのだが、土系の魔法を得意とするカシオネには関係ない事だった。魔法で出現させればいい。カシオネが医務室に行くのは正直、独房に入ると参るからなのだが、もうひとつミラーとカシオネの数少ない理解者でもあるからだ。医務室の先生だけはミラーが居れば悲しむと思うわと言って慰める。ミラーには知られてないとカシオネは言うが、ミラーの事を思い出すだけで気持ちは静かになる。すでに一緒に生活をしていることを知らない先生は
「四年なんてあっという間にすぎるわ。貴方達ならすぐ一緒に暮らしても大丈夫よ」
すでに一緒に暮らしていて今、寂しい思いをさせている事を感じてるカシオネは笑えない。ただ退学にならないのが不思議なくらい自分が荒んでいくのを感じるだけだった。




夏休みになり、学校を辞めていいか聞くと当然駄目だといわれる。ただ錬金術をし、心を落ち着かせミラーと向き合う。冬とすることは同じだった。術戦に狩り、体力づくりを加えて勉強を見る。やるだけの事をしたら抱けるだけ抱く。子供ができてもいいと思って抱いても光の者に子供が授かるのは難しい。ただ愛だけを確かめ寂しさを埋め尽くして再び学校に戻る。週一回の狩りだけが二人を繋いでいた。








転生編 7-5 
http://sns.atgames.jp/diary/26201032








転生編 7-7
http://d.hatena.ne.jp/MitamaToki/20140515