勝手がお好き!!~徒然満載

ゲーム依存症の創作好き

魔法使いになりたくて 35-1

ミラーたちは三年生になっていた。そして例のごとく六人が呼ばれる。




「今回はねー、二つ仕事が来てるの。ミラーたちとサンドラたち四人に分けるか迷ったんだけどミラー、カシオネ。ミラーはサンドラ側へカシオネ、アガルス側へついて三人で仕事をこなしてくれる?その方がバランスいいと思うのよね」
『はい。わかりました』
「ミラーたちはちょっと強いわよ。鈴蜂が村に住みついたわ。討伐をお願い」
「カシオネ?」
とミラーが声をかける。
「できれば鈴蜂の鈴を取って来てくればらばらでも構わないから風の魔法を使っていいよ」
「わかった」
「いい?で、カシオネたちは東の山で噛み鹿の討伐をお願い。体当たりと噛み付きに注意してね。これも錬金術の材料になるの?」
「はい牙と目玉と角がなります」
「あまり欲はかかないほうが身のためよ」
「わかってます。できる限り散らします」
「ああ、そうはいかないの。数低減が目的だから、できる限り狩って」
「わかりました」




ミラー達はラムの村に来ていた。リーンリーンと煩いほど鳴っている。
「どうする?強いのよね」
「先生の話ではそうなるけど、気をつけるのは尾の針でしょう」
「まずひとつ巣をつぶしてみようぜ。大地の石よ蜂の巣を押しつぶせ」
大方の蜂はつぶれて死んだようだが何匹かが襲ってくる。
「風よ蜂たちを閉じ込める結界となり小さくなれ。サンドラ、結界内を水で埋め尽くして」
「わかった」
結界内は水で溺れるがリーンリーンとまだ響く
「こいつら強い」
とサンドラ。リーンリーンが増す。そしてどんどん強くなる。
「おい!周り!」
「光よ私たち三人を封じ込めて」
大きな結界が三人を包む。周りの蜂たちが到着する前に結界は張られた。
「ミラー二重結界大丈夫なの?」
「重層なら10連でもできるけど…こいつら仲間を呼ぶんだわ」
「ドルドネ蜂の結界に石のつぶても放ってさきにこいつら殺す」
「わかった。石のつぶてよ水の中で巻き上がれ」
どんどん増えていく蜂…すでに結界に向かって何匹も体当たりしている。
「全部水に沈んだわ」
「結界はずすわよ三人で一斉に。せーのーはい」
三匹ほど飛び上がる。
「まだ死んでない!」
「光よ小さき命を奪いたまえ」
三匹と外の何匹かが死んでいく。
「さすがミラー。でもどうする私たちが籠の鳥よ?」
「一遍に来てるなら一遍につぶさなきゃ意味がない。また新たに蜂が飛んでくるだけよ。できるか…光の結界よ町を覆いつくせ!」
「ミラー!無茶な」
「無茶だから私とカシオネを分けたんでしょう。私は攻撃魔術師よ結界ぐらいでは倒れない縮めるわよ」
リーンリーンとした音が騒がしく大きくなる。羽が当たって上手に飛べずに地に落ちる蜂たちがいる。
「外の結界に対して風の刃つかえる?」
「威力は保障できないけど」
とサンドラとドルドネが使う。どんどん落ちていく蜂たち、その代わりに地面に落ちてた蜂が舞い上がる。
「氷の刃にきりかえていい?」
「俺は石のつぶてだ」
「やってみて」
氷の刃の方が効いているみたいだ。
「ドルドネ使える?」
「初挑戦だな。水よ氷の刃よ小さきものたちを切り裂け」
威力は弱いが使えている。
「続けるわよ」
とサンドラ。ミラーは
「光の結界よ町を覆いつくせ!」
三重の結界それを縮めて、最初の結界をはずす。取り残した蜂も、これで捕獲したはずだ。
ミラーも氷の刃をかける。元の魔力が違うらしく、すざましい嵐が吹き上げる。
「水…苦手じゃなかったっけ?」
「苦手よ。特訓はしていたけどね」
その間も蜂は襲ってきている。氷の刃をやめて光の結界の内側を張りなおす。
「大分死んだわね」
「そうだな。もう一息だが休みたい」
「駄目よミラーは重層結界張ってるんだから」
「いいよ。休んで。私が氷の刃かけとく」
また凄い氷たちが暴れ狂う。
「一番疲労してるのはミラーでしょ。結界は変われないし、氷の刃いくわよ」
少し強さが増す。
「どうしてそんなに落ち着いてられるの。三つも魔法を使ってるのよ?」
「結界だけなら10連層でもできると言ったでしょう。カシオネと何回と無く戦ってきたもの。音はあげないわ。私が負けたらカシオネも死ぬもの。今はサンドラたちだけど、刃を止めて」
数が圧倒的に少なくなってる。
「いけるかな…大地よお前が生みし鈴蜂の息の根を止めよ!」
大地からほんとに小さな刃が生まれ鈴蜂を真っ二つにしていく。少なくなったとはいえまだ100はいるだろうに…
「すごい…」
「呆れたもんだな」
結界を縮める浮いてくる蜂はいない。
「これでやっつけたかな」
スタンとミラーが座り込む。
「大丈夫?」
「大丈夫よ。結界は外れてないでしょう?」
「それはそうだけど…」
「よく耳を澄ませて、もう鈴蜂の音は聞こえない?」
「大地よ町に住まう鈴蜂の音を届けよ…聞こえないな」
「女王蜂まで飛んできて戦ってたのかしら?」
「そうみたいよ…ほら」
ミラーは明らかに違う蜂を二匹を拾い出す。
「蜂をかき集めましょうか。いるんでしょう?その後、巣をはずして仕事完了よ」
「そうね」
「だな」
と結界をはずす。山ほどの蜂をかき集め、それから巣をはずしていった。帰りにドルドネが
「最後に倒すのに使った魔法教えてくれ」
という。
「ああ、ドルドネは土系だったもんね。体の力を抜いて動作はこう。魔法語は覚えてる?」
「大地よお前が生みし鈴蜂の息の根を止めよ」
「そう。どこを変換すればいいかわかるよね」
「鈴蜂だな」
「OK。完璧だと思うよ」
「ありがとう」
「どういたしまして」




帰るといきなり慌しさが目に付く
「ミラー!早く来て。こっち」
とテルジス。連れて行かれたのは医務室だった。中ではエンジェルと知らない白魔術師とアレクシラが治癒魔法をかけている。アレクシラが
「ミラーほんの数秒前まで心臓が動いていたのだけど…」
「どいて」
ミラーは胸を強く押さえつける。結構な勢いで何度も何度も
「ミラー、カシオネは死んだわ」
「数秒前なんでしょう?なら助かるかも、人間の知識だけど、心臓マッサージ…お願い動いて、カシオネお願いだから動いてよ…もっと強い方がいいんだけど…」
「ならおれが変わる」
とアガルス。
「俺のせいなんだ。結界が間に合わなくって俺に結界かけてるうちに角で突き飛ばされて強く岩棚にぶつかって…動き出した」
「カシオネ!」
近づこうとするミラーを跳ね除け
「変わって」
とエンジェル。3人で治癒魔法がかけられる。壁側によりミラーは、誰をも寄せ付けないようなオーラをまとったがごとくただじっと、カシオネをにらみ続けていた。先に死なないとは言った。だが先に死なれるということは、こういうことなんだと思い知って。そのうち涙があふれてくる。表情はにらんだままに…時間が随分たってアレクシラが
「もう大丈夫よ、峠は越したわ。よく生きたものよ。側にいる?」
「はい。います。ひっく」
涙はまだ止まらない。にらみつけていた表情もそのままだ。その矛盾に、アレクシラは苦しくなった。
「助す…かった…」
ベットの横に疲れたように座るミラー。
「カシオネ、お願い。カシオネ生きて。私の側を離れないで…」
つぶやくミラー。




深夜になり誰もいなくなった。ミラーも、うとうとしていたが触れられた感触で起きる。
「気がついたの?心臓まで止まったのよ。何やってるのよどじ」
「まったくだ。後で考えれば、いい方法はいくつも浮かぶのに実践じゃミラーには及ばなくなってるな」
「私より無茶なんだから、カシオネは…生きていてよ。もうこんなのやだからね」
「俺もだ。…ミラー、キスして」
「どうやって…」
「わからなくはないだろう?」
「姿勢が悪すぎるわよ」
そういいながらもベットに足をかけ。唇を合わせるミラー。カシオネの舌が入ってくる。受け入れているうちに心臓が跳ね上がる。頭に手を添えられ、動けないまま長いことそうしていた。
「抱きたい」
「駄目、心臓が止まってたと言ったでしょう。魔法は完璧でも体は言うこときかないわよ」
「元気になってからでいいから…お前を俺のものにしときたい」
「カシオネ?約束は?」
「もう抜きだ。嫌か」
「嫌かと聞かれると、とっても困るんだけど」
「少し寝る…ミラー愛してる…」
「愛してる…締め付けられるように苦しい。はじめてよ」




一ヶ月ミラーは一人で仕事をこなした。アレクシラが一人でもできそうな仕事を選んだがミラーは傷だらけだった。結界を張ればそんなことにはならない。攻撃に集中していた結果だ。治癒を受けながらアレクシラに
「貴方も死にたいの?」
と聞かれたぐらいだ。
「死にません。カシオネとの約束ですから、ただ後に残ることの意味に、少し荒れているだけです」
「後に残る意味ね。それは辛いわね。パートナーを失って白魔術を断念した人は無数にいるわ」
「そんなに?」
「うん。ましてや貴方達はパートナーではすまないでしょう」
「だと思います。私にとっては特別な人ですから」
「いつから恋してるの?」
「恋なんてした自覚がないので困ってます」
「あら、そうなの?それは困ったわね」




寮の夜、ミラーがマシャルのノートを見ていると
「ミラーいいか?」
カシオネの声がする。鍵をあけるミラー。
「簡単に開けるなよ」
「締め出されたかったの?」
「抱きに来た…」
耳元でささやく。
「あっ、そっか…」
困ったようにするミラー。
「怖くはないだろう?」
「うん…困ったことに。拒絶できるなら困らないんだけど」
「だから、俺のものにしにきた」
「愛してるとは思う…でも後悔しないかな」
やはりミラーは今までの関係が崩れることを、もっとも恐れていた。
「後悔もしないよ。ミラーは俺をいつも求めてるんだから。心臓の音、一人になる不安、この傷だらけの体。全部俺にまっすぐ向いてきた証だ」
ミラーを抱き上げるカシオネ。ベッドにそっと降ろすと
「愛してる」
そう言って抱きしめてくる。
「ミラー、俺を感じて」
愛撫を始めるカシオネ。
「つっ」
何かに耐えるミラー。
「ミラー力を抜いて。感じていいのだから」
素直に力を抜くミラー。
「あっ」
声が自然とでる。
「あいしてると言ってごらん」
「…あいしてる。ああ」
走馬灯のように流れる日々。また涙が流れてくる。
「そっか、シャルセいなくなったあたりからミラーはカシオネに依存してたんだ」
「うん、そうだね」
「でも…このまま…愛して…いいの?あっ…あん」
「体はこんなに正直なのに、まだ信じられない?」
「自信がない…」
「じゃあ最初からだ」
口付けを交わす二人。
「俺はお前が欲しい。考えてごらん。俺はお前に恋人ができて、手を結ばれるのもがまんできない。ミラーは会えなくて平気?一緒に寝ることも無くなる」
「嫌だ、一緒にいられることが前提だった…いつも」
「それに無理があるんただよ。欲しくて、欲しくてたまらない」
「他の男だって同じになる。どっちを選ぶ気だ、ミラー」
「…カシオネ…しか知らないよ。カシオネが側を離れてくなんて…やだ」
「知らなくていい。俺だけを受け入れてくれ」
体中を愛撫していくカシオネ。手はミラーの大事なところに差し込まれる。充分に熱くなっている体からは愛のエキスが漏れ、カシオネを激しくさせる。
「あっ…あん…はぁはぁ、カシオネ…もう大丈夫だから…壊れそう」
「少し痛いよ」
「んっ、くすっ、魔法で受ける傷を考えるとなんでもない」
「違いない」
二人は静かに結ばれていく。いきあがって静まるまでそう時間はかからない。
「やっぱり、静かな音がすき。あいしてる」
口付けるミラー。受け入れる方はもっと激しい。
「んっくっ、はっ…いつから私は…恋してる?」
「たぶん最初からじゃない?」
とカシオネは笑った。




ちこくま。ミラーはため息だけして座った。そうすると文字はミラーの頭の上に移った。鬱陶しいが、食事をすることにした。食事をしていると同じ歳ぐらいの子が来て魔法の杖を振る。文字が消えていった。
「あ、ありがとう。とカシオネ君」
「カシオネの呼び捨てでいいよ。三日もすれば飽きるよ。それまでの我慢だ。同じ魔法使いの血統として恥ずかしいよ」
「別にカシオネが悪いわけじゃないし、私も、もっと早く意を決して動けば良かったと思うし」
「そうだね。あの姉妹は駄目だよ。困ったら助けてあげる。学校にも兄弟が一杯いるしね。食事にしよう」
「うん」




静かに二人だけの時間が過ぎていく…




その年、二人は白魔術学校を卒業し、攻撃魔法師としてミラーは就任。錬金術師としてカシオネは就任した。




34
http://sns.atgames.jp/diary/26210290
http://d.hatena.ne.jp/MitamaToki/20140401



35-カシオネサイド
http://sns.atgames.jp/diary/25239873




社会人偏
36
http://sns.atgames.jp/diary/25246894