勝手がお好き!!~徒然満載

ゲーム依存症の創作好き

魔法使いになりたくて79 カルラナ12

12年生に入ってすぐ、ラルダは一人の女と遊びだした。
「これだから男。どうしょうもない。その中。最低な男を選んでる」
とカタルナ。
「今すぐ別れろ。今を逃したら、ずっと振り回されるだけだ」
とチケ。
「大丈夫よカタルナ、チケ。遊んでても戻ってくるから。それに今度は何か理由がありそうな気がする」
「なんで、そんな風に思うんだ?」
カルラナは呪いの話を改めてする。そして今回、カルラナの目を避けて付き合い始めたこと。
「いつもなら私の目は気にしない人だし、遊んでるというより…ヤケ起こしてる感じが強い気がするの。今までの感覚だけど」
「理由は分かったが、奴が治癒魔法を使ってないなんて保障は無いんだぞ。それにヤケを起こしてだろうとなかろうとお前への負担は変わらない」
「今回。食べれてるな?」
とカタルナ。
「不思議と食べれてる」
「なら奴が自分の一年間犠牲にした。カルラナに尽くした事実。信じる。まじないもだ。疑ってたらきりがない」
「これだから、女ってやつは」
と頭をかかえるチケ。
「ならチケ、私と魂結ぶ勇気あるか?」
「できるわけないだろう!相手が死ぬならともかく自分が死んだら道連れだ!」
「その魔法の効力さへ確かめる方法はないんだぞ」
「効力ならチケ効いてるわ。手と心臓の鼓動が違う…」
カタルナが首の脈と手の平の脈を比べる。
「本当。チケ間違いない。鼓動の早さ。大きさ違う。ゆっくり、力強い。心臓が二つある」
チケも測ってみる。
「…間違いないな。効力はきいてるのか…なんて男だ。それがどれほど残酷なことかもわからないのか奴は…」
「私も受け入れたことよチケ」
「本当に分かってるのか命がけで戦ってるとき、他の女を抱いてるとき、死んだ時さへも、気付かざるを得ないんだぞ」
「うん。術の効力がはっきりするほどに、それには気付いてた」
「チケ。何を言っても無駄。カルラナは一年生で奴に命をかけてる。九年生で死にかけて。それでも戻ったんだ。奴の元に」
授業が始まった。




学習室で勉強をしていると利き手の手の平が熱くなる。鼓動も微妙に早い。女の人を抱いてるのが微妙に分かる。全身の体が熱くなる。理由は分かる。カルラナもラルダを求めているのだ…勉強に身を入れるように神経を集中していく。難しいことじゃない。錬金術ではいつもそうだ。他人は脳裏にはいない。あるのは調剤と調合と出来上がりの見分け方だけだ。同じように集中すればいい。自分に言い聞かせてコントロールしていく。錬金術では当たり前にできることがどうしてこんなに難しいのだろう?カルラナにとって錬金術は魂の一部のようなものだ。そんなになんでもかんでも自分の一部にはならないだろう。そのことをカルラナは気付いていない。勉強をしてる間はまだ良かった。寝付けない。苦しくて愛しくて体が変になりそうだった。たった右手が鼓動するだけなのに。チケのことばが耳につく残酷なことを…手ひとつで犯されてる気分だ。これがラルダとのつながりじゃなかったら身がもたなかったろう。食事にもラルダは来ない。授業もギリギリにくるので話す暇もない。体だけを持て余し、チケに
「言わないことじゃない」
と言われつつ、カルラナはひたすら耐えていた。




土曜日、カルラナとチケとカタルナは錬金術をしていた。釜は三つしかない。そのこともあり、カタルナとチケはいつも日曜日に錬金術を月一くらいで行っている。毎週土曜日に錬金術をしているのはカルラナ一人だ。12年間ほぼやり通した。本当に好きなのだ。そして心が落ち着いてく。明日はメンテナンスで、フォレストから錬金術師が派遣されてくる。そういう訳で釜が全部埋まることを承知で、三人で錬金術をしていた。カタルナがいう。
「大丈夫か?その状態。失敗しないのか?」
「大丈夫、錬金術は失敗させない。それに今朝から熱は下がってる」
とカルラナが答える。と、ドアがガラガラと開く。三人で
『ラルダ!!』
と声が揃った。
「振り向かなくても、全員に正体がわかるのはおもしろくないが…」
とラルダは言うと椅子を持って来て座ったようだ。
「なにしにきた」
「暇なときはここで教科書開いてる日課な様なものだカルラナの錬金術は、いつ終わるかわからないからな」
と涼しげに答えるラルダ。
「そうなのか?」
「うん」
昼前には測ったように三人とも片付けだした。難しいものは食事を抜いてもやり続けるが、三人揃ってるときに、しかも明日のメンテナンスを控えてそんな難しいものを作る気は三人ともなかった。




片づけが終わった時
「カルラナ来い」
とラルダが呼ぶ。チケやカタルナも来たので、露骨に嫌な顔をしてみせるが話す。
「これだ」
とラルダが水晶球を差し出す。
「再生せよ」
と言うと水晶に映し出される。
「すごーい!綺麗。夕日がこんなに綺麗にみえる谷が学区内にあるなんてドアさんは良く来られるの…んくっ」
喋れなくなり、動けないで居るカルラナ。
「よく来るよ。そして100%女の子はその綺麗さに見とれて杖の振られる音に気付かない。無言呪文さ。俺は君にずーっと興味を持っていた。食堂で堂々と男の子に食べさせてもらってる女の子ってのは始めてだからね」
唇を奪われ服を脱がされ、ラルダが現れ男の舌を切り動きを封じる。
「ラルダ、力持ちだね…」
「ああ、体術も仕込まれてるからな」
そこで映像は途絶えた。




「記憶の水晶球だ。俺はカルラナの裸体や唇を奪われる姿など人には見せたくなかったからな。これが他の女たちが泣き寝入りした原因だよ。気付けば良かったんだが気付かなかったので今まで付き合ってた女に拾われた。返してもらえなくて取り上げるのに時間がかかったが昨日取り上げて女は叩きのめしといた。もう付き合えとも言わないだろう」
「ラルダ。普通、女、殴るか?」
「殴っただけじゃない。殴る蹴る。骨の二、三本は折れてるはずだ。医務室に運んだだけでも俺としては親切なつもりだが」
「ラルダを怒らすから…怒らせば、私とて容赦されないでしょうね」
「それが、分かってるなら怒らすなよ」
と意地悪く笑うラルダ。
「一年生のとき喧嘩してたときでさへ本気じゃなく遊びだったわ。とてもじゃないけど普段のラルダを知るなら怖くって怒らせられないわよ」
「昼でも食いにいくか…今度はちゃんと食べられていたのだろうな?」
「不思議なことに食べれてたわ。原因はわからないけど」
「抱いたからだろう。あとは誓いか…苦しめもしたな?」
「とっても、こんなに辛いとは思わなかった」
「じゃあ今日、来るのもわかってたろう?」
「うん。手の熱が怒りに変わってたから終わるなとは思ってた」
「怒ってるって何故わかる」
「だって熱がドアの舌を切ったときと同じだった。私に我慢しろと言った時に触れた熱さ…あの時、我慢してたのはラルダもだわ」
「だいたいわかったから、昼を食いにいくぞ」
とチケ。カタルナはついていく。
「おまえらはどこまで進んでるんだ?」
「ラルダ、それを聞くのは失礼だって」
「かまわんさ、フォレストじゃ珍しくもない質問だし、見ればわかることだ。抱いてるよ。さすがに教室でとはいかないが家では抱いていたんだ。今まで気付かなかったのか?カルラナ?」
「…全く…」
「一応。死角入る。カルラナ。気付かない」
「まぁ、棟も違うしな。口付けしてるところも見られてないとは意外だな」
というチケに対し
「だって家では錬金術のことで頭が一杯だもん」
とカルラナは拗ねて見せた。




食事をとってると
「終わったら小屋に行くぞ。お前のうずく感覚が伝わって来て抱きたくって仕方なかった」
とラルダ。
「ごめんなさい」
とカルラナ。
「何故あやまる。謝るなら俺のほうだろう」
と言うラルダに対して
「でも仕事の邪魔したわ」
「仕事か…そういわれればそんなもんかもしれないな。そんなけ割り切れるんならこれからも耐えれるかな?」
「やめてよ。辛かったんだから」
「俺もだ」
そして小屋に行く。二人の愛を確かめるためにお互いがお互いを求める。1ヵ月半ぶりだった。




ある日、声をかけられ、二人揃って連れ出される。ラルダは残れと言ったが、囲まれた人数は20人を超える。いくらラルダでも相手しきれないだろう。少しでも敵をひきつけておきたかった。
「風よ嵐を引き起こしできるだけの人を捕らえよ」
「炎よできる限りのものに火傷を負わせよ」
20人の同時呪文がくれば負ける。二人の行動は早かった。二人とも20人を捕らえて、あっさり勝負はつくかと思ったが
「風の結界を解け」
「水よ強き癒しをもって全員を回復せよ」
動けるものが最低でも二人いる。それも高難度レベル者だ。
「光よ二人を捉えよ」
「水よ氷の刃となりて敵を切り刻め」
「水よ全員を包む10層の結界となれ」
これは同時。二人は光で捉えられたが傷は負わない。そのうちに他のものたちが動き出す。
『大地よ二人を絡み取る蔦を生み出せ』
何人かの重複呪文。逃げられない。杖も振るえない。杖なしで何処まで呪文が唱えられるか?
「光よ全員を傷つける刃となれ」
これは効いた。ほとんどの者たちが膝をつく。その間に
「大地より剣よ現れ蔦を切れ」
そのまま走ってく。一人、二人、三人…
「そこまでだ」
捕らえられていたカルラナに一人の男が刃物を向ける。今度はラルダが男達に殴られていく。それを見たカルラナの中で血が逆流する。
「光よ蔦をきれ」
の無言呪文。
「なに?」
という男の声。利き手でナイフを握り締め、首からはずすカルラナ。
「!」
そして跳び下がって杖を振る。それを見たラルダは
「やめろ!それは死ぬ。学校で殺しはするな!」
「くっ、光よ一人を切り裂け」
手加減した光の呪文に変える。男は膝を付き…倒れた。殴られていたラルダも反撃を返す。どこにそれだけの力が残ってたのか、素手でも一人、一人、一発で気を失う。カルラナの元に行きカルラナを拘束した男の手を踏むラルダ。
「何のつもりだ。何故俺たちを狙う」
「…ドアに水晶球を渡していたのは私だ
そして、お前に滅茶苦茶にされたのは私の妹だ」
杖なしで呪文を唱える男。
「大地の檻よ一人を閉じ込めよ。女の服を切り裂け」
カルラナの服が切り裂かれ破れやすくなる。
「大地の檻を壊れよ。くっ壊れない」
とラルダ。
「大地の岩よ一人の手足を封じよ」
カルラナが身動きとれなくなった。そこへ男のものがカルラナの濡れてもない中に容赦なく突っ込まれる。
「いやーっ!」
「やめろーっ!」
二人の声が重なる突如現れる光と土嵐。それが、一瞬にして消える。
「そこまでです」
数人の先生とチケとカタルナ。連れて行かれる男達。
「入れてやった!目の前で犯すことには成功したさ」
と笑う男。
「カルラナ、すまない。カルラナしっかりしろ」
と頬を叩く。放心状態で全く反応をしめさない。カタルナが悲痛な顔をして
「カルラナの母。父親以外。全く受け入れなかったと聞く。人を殺して。それでも。身は守っていた…」




「水さへ飲み込まないわ」
と医務室の先生がラルダにいう。
「そいつの変化は手に取るようにわかる」
そういうラルダも憔悴してる。魂が繋がっているのだから当たり前の話だ。食事を持って来て口移しで食べさせる。喉がうごく。とりあえず死は免れそうだ。カタルナが薬を持ってくる。
「カルラナ。この薬。飲ませられるか?」
「これは?」
「精神修正薬。麻薬効果が高い。連続しては飲ませられない」
「狂ったやつに処方させる薬だな…」
「一概にはそう言えない。精神が情緒不安定の時。大きく効くが…今のカルラナ。壊れてる。間違いじゃない」
「わかった。どこまで効くかわからないが飲ませてみる」
口に含ませて口移しで飲ましていくラルダ。
「一晩。結果でる」




「や、見ないでラルダ。来ないで」
とカルラナ。
「俺以外に一体お前の面倒を誰が見る?魂が繋がってるんだぞ。お前の恐怖も羞恥心もみな伝わってる。俺まで殺す気かカルラナ」
びくっとするカルラナ。ベッドに座って口付けをする。抱き寄せて
「お前は強かった。俺が想像する以上に…悪かった。巻き込んで」
「迷惑かけるつもりなかった。どんな暴力でも耐える…だけど、だけどラルダ以外は嫌。それだけは嫌なの」
「わかってる。すまない」
そう言って小屋に連れて行くラルダ。口付けをする。恐怖がまた伝わってくる。俺に抱かれるのも怖いのか、という少しの苛立ちを我慢してラルダは抱き始める。硬い硬すぎる体も心も伝わってくるものが硬すぎる。指で愛撫するが唇で愛撫するが濡れてこない。ラルダはしばらくして諦めた。
「カルラナこのまま入るぞ。覚悟しろ」
カルラナはたただしがみつく。できるだけ優しくそれでも入っていくつもりが
「いやー!」
と暴れだす。結局無理やり犯す。そんなことが半日続くとカルラナはぼろぼろだ。諦めて人形のようになっていた。また正気を失ったかと頬を叩くと
「ごめんなさい」
と涙が伝ってきた。正気ではあるみたいだ。恐怖心か…ラルダは昼と夕食を抜き抱き続けた。入ることはなしに愛撫だけをした。そして初めて自分のものを口に含ませた。アナルも犯した。カルラナは戸惑いながらも受け入れ…再度、男の犯したそこへ挿入した。少しずつあえぎがもれる。他の部分を犯すことでやっと自分の伴侶だと心が緩んできたらしい。後は簡単だった。感じるままに朝まで抱き合った。カルラナはラルダの元へ戻ってきた。口付けをすると応えてくる。一晩が長かった。ラルダは朝食を食べに学校に戻る。
「自分でたべれるか?」
「うん」
というとスプーンを口に運ぶカルラナ。
「お前、精神修正薬飲んでるからな。それで昨日の状態だぞ。他に異常ないか確認しとけ。それからどんな男に抱かれ様と俺は構わない。それで愛がゆらぐなら誓いの呪文なぞ使わない。だけどそれで狂うなら自分の身だけは守れ。学校を卒業したら殺すなとは言わない。死体のひとつやふたつ葬るから」
とラルダ。
「誓いの呪文…解除できないの?」
「お互いの傷が治ったいま、できないな。そう弱気になるな」
「ごめん。命を預かってるのに…」
「それは、俺もだ。卒業してから厳しくなるぞ」
「とりあえず授業ね」
「だな」




それから体力作りと決闘に狩り、錬金術と卒業まで忙しい日々が続いた。そして卒業をする。フォレストにこの18年間の礼をいい。荷物をまとめてでていく。とは言っても、フォレストでしかできない錬金術もある。死ぬまでに何回となくお世話になるだろう。そのことでも頭を下げる。外にでるとラルダが待っていた。
「フォレストってのはでけえなぁ」
「だからこそ不可能を可能にする術をいくつも抱えてる」
「おいで。今日からはラルダ=ハドルスの伴侶だ。ハドルス家の人間になる。優しい一族じゃない。だけど耐えてくれ」
カルラナはラルダの腕の中で旅だった。










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http://d.hatena.ne.jp/MitamaToki/20140323
http://sns.atgames.jp/diary/25861601




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http://d.hatena.ne.jp/MitamaToki/20140328
http://sns.atgames.jp/diary/25913207